願う
雪が降ってきた。
積もるタイプの乾いた雪が……。
今年もまた、長い長い冬が始まる。
部屋の中で1人、音のない世界が広がっている。
こたつにもぐりながら、窓の外を眺めている。
雪は深々と降りそそぐ。
携帯を取り出して、タッチスクリーンを操作する。
動画サイトを検索する。
Françoise Hardyの「Message Personnel」をクリック。
ピアノの旋律が走り出す。
この曲に乗って、雪は天から舞い降りてくる。
寂しさを運んで……。
今の私には、雪の一粒一粒が寂しさの塊に見える。
降り積もる雪を見て、思い出1つない孤独な人生を振り返る。
この白い大地に、一度でいいから色を塗ってみたい。
赤、青、黄、緑、他にもいっぱい。
あと何年たったら、色を塗れるんだろう。
もし、このまま色を塗れなかったら、私の存在はどんな意味になるのだろう。
心まで凍りつく季節。
寒い。
早く終わってくれ。
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