七百四話 装備は立派だが……
普段通りモンスターと遭遇したら狩り、時間に余裕があれば解体。
罠を回避し……そもそも発動させてしまう様な真似はせず、宝箱を回収。
そういった流れで特にやらかしてしまうことなく、三人は軽やかに階層を下っていく。
(三十二層以降、ファイヤドレイクみたいなモンスターと遭遇しないな……個人的には、もうちょい高ランクモンスターの素材が欲しいところなんだけど)
鍛冶師としても活動するソウスケとしては、Cランクモンスターの素材も十分ありがたい素材。
しかし、最近は自分でも少し鍛冶の腕が上がってきたと感じ、もっと高ランクモンスターの素材を使って武器を造ってみるのもあり、と思っていた。
ファイヤドレイクを一人で倒したミレアナとしては、素材全てを杖やマジックアイテムの制作素材に使おうとは思ってらず、ソウスケやザハークに武器や防具の素材として使ってもらっても構わない。
ただ、ソウスケとしては高ランクモンスターの素材を使うのであれば、やはり自分で倒したモンスターの素材の方が、心置きなく使える。
(まっ、Bランクモンスターの素材なら四十一階層以降に降りれば、割と簡単に手に入るだろ)
ソウスケの考えは間違っておらず……四十一階層からより下は、イレギュラーとか関係無しにBランクのモンスターが出現する。
三人にとってBランクモンスターは丁度良い相手で、狩ることにそこまで苦労もしないので、素材入手は決して困難ではない。
加えて、最下層のラスボス以外でもAランクモンスターと遭遇できる可能性は十分にある。
「ソウスケさん、あそこ……」
「ん? どうした」
三人は現在三十八階層を探索中。
そんな中、ミレアナがとある冒険者パーティーを発見。
全く顔見知りなどではないが、一つのパーティーがそれなりに数が多いモンスターの軍団に襲われている。
(見た感じ……装備はかなり立派だよな。Bランクか……もしくはAランクのパーティーか? てか、なんじゃあの大きな死体は!!??)
今更ながら、ソウスケは四人の冒険者の近くにある巨大なモンスターの死体に気が付いた。
「…………とりあえず、ちょっと危なそうだし助けるか」
「「了解」」
冒険者たちに襲い掛かっているCランクのモンスター、フレイムジャッカル。
Cランクの中でも個としての強さはあまり高くないが、群れになるとその強さはBランク程まで上がる。
冒険者たちが普段の状態であれば群れであっても冷静に対処出来るが、先程偶々……運悪く遭遇してしまったAランクモンスターとの戦闘で体力と魔力、道具も消費してしまった状態ではかなり厳しい相手。
もしかしたら、自分たちはここで殺されるのかもしれない……そんな考えが脳裏にちらついた瞬間、人族の少年と美人エルフ。そして鬼人族? が猛ダッシュで近づいてきた。
「お前からだな」
群れがあれば、その中には必ずリーダーがいる。
リーダーを失えば、一瞬だけかもしれないが……場は混乱する。
ソウスケはリーダーが気付く前に愛剣のグラディウスで首を斬り飛ばし、士気を崩す。
「脆いな」
「仕方ありませんよ」
決してフレイムジャッカルがクソよわな雑魚なのではないが、ザハークとミレアナはソウスケと同じくサクッとフレイムジャッカルの首を落としていく。
「ッ、俺たちもやるぞ!!!」
ここで死ぬかもしれない……ほんの数秒前までそう思っていたが、ここにきて誰かは知らないが助っ人が現れた。
助かるかもしれないという思いが溢れ、それが原動力となって四人も息を吹き返し、フレイムジャッカルを倒していく。
そしてものの数分程度で四十体ほどいたフレイムジャッカルを全滅。
「たはーーー……今回は死ぬかと思ったぜ!!!」
ようやく地獄から切り抜けたことで、完全に力が抜けてしまった大剣使いの男はその場に大の字で倒れてしまった。
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