三百八十四話 死ぬより辛い……かも?

「ミレアナさん、やっぱり男って馬鹿ばかりなのでしょうか」


「そう断言してしまうのは真面目に働いている男性達の失礼でしょう。ただ、残念ながら馬鹿もそれなりにいるという事です」


モンスターと一戦行っている最中に後ろから正確な意味では加勢の攻撃なのだが、それを解っていてミレアナは弾いた。

その隙に他三人の攻撃によってロックコボルト達は討伐された。


四人の背後から現れた冒険者達は皆男であり、全員が中の上の面を持っている。

男達にミレアナは何故いきなりロックコボルトに攻撃を放ったのかを尋ねた。


返ってきた答えは単純な内容であり、苦戦してそうだったから加勢しようと思った。

言葉だけ聞けば善意しか見えないだろう。


しかし、明らかにそれだけが理由では無い。


まず、加勢するならば何故自分達に声を掛けなかったのか。何故全員で加勢しなかったのか。

ミレアナはその理由が直ぐに解り、徐々に目が細くなって体から冷気が漏れ始める。


(男性が女性をそういった考えで見てしまうのは解ります。ソウスケさんも一緒ですからね)


女性を性の対象として見てしまうのはしょうがない。男の性という物だ。


(ですが、こいつらはどうにかして自分達に有利な状況へと運ぼうとし、隙を伺ってそこを付こうとしている)


本人達は意識していないが、立派な犯罪だ。

他人にはバレにくい場所であろうと関係なく、相手の同意無しに女性を抱こうとするのは立派な犯罪。


だがその意識がミレアナを襲おうとした冒険者達の頭では自分の欲求を正当化することで、一切そのような意識を持たれていなかった。


(今すぐにでも殺してしまいたいところですが、彼女達に迷惑を掛けるのはよろしくないですね)


その結果……ミレアナは男達の大事な大事な息子を切り落としてしまった。


当然、男性冒険者達は自分達の野郎としていたことを棚に上げてミレアナを非難するが、即座にポーションを患部にぶっかけられた事で、止血は成功した。


止血までの速度が圧倒的に早かったので、屑共が大量出血で死ぬことは無い。

だが、これから屑共は外見は立派な男だが、男性と名乗れない体の構造となってしまった。


上等な……それこそ最上級に近いポーションや魔道具でなければ再生することは出来ない。

そんな買うとなれば白金貨何十枚単位の金額が必要なポーションや魔道具を買える程の財力が屑共にはあるのか?

ハッキリ言って無い。ランクは全員Cなのでパーティーの資産や個人の資産を考えれば中々の物だが、それでも届かない。


そんな状態になってしまった屑共は嘲笑、失笑されることを恐れ、公共の大浴場に入る事すらできない。


そこでミレアナはダメ出しをするかのように屑共が持っていた武器を完全に破壊した。

屑共も一応プロと呼べる実力者なので予備の武器は持っているが、それでもミレアナに壊された武器以上の性能を持つ予備の武器は無い。


「これで、あなた達は男として死んだも同然ですね。本当は殺したかったんですが、この方がより苦しみを与えられると思ったので」


表情は笑っている、だが目は笑っていない。そんなありふれた表現が最も当てはまるほどにミレアナは冷酷な笑みを浮かべる。


蛇に睨まれ蛙。その様な状態に陥った屑共は最後の力を振り絞って悲鳴を上げながらその場から逃げ出した。


「それにしてもやっぱり股間は男にとって急所なのですね!!」


「魔法職が男性と対峙するときは覚えていた方が良いでしょうけど、あまり狙い過ぎは良くないですよ。狙いがバレてしまいますからね」


魔法職が扱う杖は案外馬鹿にならない強度を持つ物も多数存在する。

なので扱う者によれば十分な鈍器となる。


息子を亡くした屑共が悲鳴を上げながら鉱山から出て来たことで、中で何があったのか完全に解らないがあの四人には絶対に逆らってはならないと解った男性冒険者達は、一緒に冒険に誘うようなアプローチ等の行動を一切しなくなった。

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