転移したらダンジョンの下層だった

三百八十三話 共に活動する理由

何故三人のパーティーの中でソウスケがリーダーなのか。

その三人の疑問にミレアナはある程度の部分までを話す。

「まず大前提の話ですが、ソウスケさんは私よりも実力は上です」

「えッ！！？？　そ、それはほ、ほほ本当に、ですか？」

「ソウスケさんの外見を考えれば普通はそのように考えるのは難しいかもしれませんが、レベルとスキル。この二つを考えればソウスケさんが私よりも高い実力を持っていても不思議ではない筈です」

ミレアナの言葉は最もな理由だ。

しかしそれでも目の前で確認出来るまでは中々信じられない内容なのも確か。

「私は接近戦も出来ますが、基本的には後衛タイプの冒険者です。そしてザハークは遠距離攻撃も出来るが前衛タイプのオーガです」

「あ、あの超筋肉質な体系で遠距離攻撃が出来るんですか！？」

「人の言葉を話すという点でまずザハークは普通のオーガでは無い、ということが解ると思います。それは攻撃の面でも言えます。そして最後にソウスケさんですが、あの方はあらゆる面で秀でた力を持っています」

「そ、それはミレアナさんや従魔のザハークの得意分野と比べて同等か、それ以上の実力を持つということ、なんですか？？」

「所持している武器の効果というのもありますが、身一つの力を考えても同等程度の力は持っています。そして先ほども言いましたが、ソウスケさんはあらゆる面で秀でた力を持っています。それは戦闘以外の事でも言えます」

戦闘以外の事と言われ、三人の頭の中に浮かんだのは交渉、鑑定、料理の三つだった。

これだけでは無いが、冒険者として暮らしていく上でこの三つは戦闘では無い場面で必要な技能だ。

「も、もしかしてソウスケさんは何処かで高度な教育を受けていたんですか？」

「高度という程のものでは無いと思いますが、一般的な教育は受けていたと言っていました。戦闘に関しては実戦の中で独学で学んだそうです」

ミレアナの言葉を聞いて三人は絶対に自分達がこの先どれほど努力をしても、絶対に勝てないとなと感じてしまった。

実戦の中で独学で戦闘技術を学ぶ。そんなことはほんの一握りの強者にしか出来ない芸当。

この話が本当ならば、ミレアナとザハークがソウスケに従っているのも三人は理解出来る。

ただ、ミレアナの話は間違ってはいないが、最初から強力な武器とスキルを有していたという内容が付属されていない。

この内容を話せばよりソウスケの強さが信用されるかもしれないが、その必要は無いと思ったミレアナはそこでソウスケについて話すのを止める。

「そしてもう一つ。ソウスケさんは私の恩人です。ソウスケさんと出会わなければ、私はあなた達とも出会うことは無かった。それほどまでにソウスケさんには大きな恩あります」

ソウスケの強さでは無く、寧ろ後半の内容が本命であり、ソウスケに付き従う内容の八割ほどがこれだ。

この話を聞いて三人の中で一気にソウスケの評価が上昇した。

ミレアナの表情に嘘は無い。ミレアナの話だけ聞けばあらゆる面で完璧な存在の様に思える。

しかしミレアナはソウスケの世間体の為に娼館にちょいちょい通っている事だけは話さないでおいた。

そして時間は流れて夕方。

価値のある鉱石にモンスターの素材や魔石を得た四人の表情はとてもホクホクとしたものになっている。

今日鉱山の中で活動している間、モンスターの討伐に関しては三人が殆ど行っており、実力が飛躍的に上がったという訳では無いが、戦い方が上手くなっていた。

「さて、今日はこれで終わりですが、まだ私はこの街にいるのでまた後日よろしくお願いしますね」

「「「こちらこそ、よろしくお願いします！！！」」」

こうしてしばらくの間、この四人で冒険する期間が続く。