三百八十一話 一人でいると

「ねぇねぇ、ミレアナさん。今日も一人なら俺達と一緒に行かない? やっぱり一人より「いいえ、一人で結構です」複数の方が・・・・・・」


ソウスケ達と別行動を取るようになってから一瞬間。

二日ほどはソウスケとザハークも一緒に採掘&討伐を行っているが、ミレアナが一人で行動する日が多いとしった冒険者達、特に若手の冒険者達がミレアナによく絡むようになった。


ミレアナの傍にいるソウスケは弟ポジション程度にしか思っておらず、現在ミレアナの傍にザハークがいるという事は中々に信じられないが、ソウスケがザハークの従魔だという事。

なのでこれはチャンスだと思い、アタックを仕掛ける者が多数現れる。


少し前にミレアナに蹴り飛ばされ、ザハークに殴り飛ばされたナンパ冒険者がいたのだが、若者の頭は都合が良いよに出来ているのでいつの間にか消去されている。


(本当に面倒な方々ですね。何故何度断っても冒険に誘ってくるのでしょうか? 私は一人で十分だと言っているのに)


折角の美人な顔が少しムスッとなりながら鉱山へと入る。


ミレアナはソウスケの様に優れた鑑定系のスキルは持っているので、魔力を有した鉱石の採集に特化しようと思い、魔力感知を使いながら鉱石を探している。


その方法は思いのほか上手くいき、魔法に特化しているハイ・エルフの特徴を上手く活用していた。

だがそんなミレアナをコソコソと付けようとするゴキブリのような冒険者達がいた。


ミレアナがいつも鉱石があるところを当てて、見事に鉱石を手に入れるという内容が冒険者の間で少々広まっており、そのおこぼれを狙う冒険者達がいた。


しかし魔力感知定期的に使っているミレアナにそれがバレない筈が無く、風の刃をノールックで飛ばされる。

勿論初撃は当てずに地面に叩きつけて脅す程度。

だが、二度目も地面に叩きつけるが、威力は十分に冒険者達を殺せるほどの威力だった。


その話も冒険者達の間で広がり、ミレアナの後ろを付いて回る冒険者達はいなくなる。


(女性の冒険者ならば他にもいるでしょうに)


後ろを付けて回る冒険者は居なくなったが、それでも一緒に冒険しようとナンパしてくる冒険者は消えない。


(やはり一度ギルド内の時と同じように蹴り飛ばすべきでしょうか?)


もやもやしながらもミレアナは採掘作業を続ける。


「シャアアアアッーーーー!!!!」


後方から聞こえた掠れる様な、それでいてはっきり聞こえ、対象に恐怖を与える声。

それと……数人の足音。


(こんなシチュエーション、前にもありましたね)


巨大な蛇に襲われているのは数人の女性冒険者。

女性冒険者達はミレアナに大声で逃げるように声を掛けるがその場から動かない。


それどころか右腕を前に突き出して攻撃態勢を取る。


「ウィンド、スパイラルランス」


女性冒険者達を食べようとしている大蛇は決して弱いモンスターではない。

そう判断したミレアナは普通のウィンドランスでは無く、回転を加えた風槍を放った。


大蛇はウィンドスパイラルランスが十分に自分を殺せる威力があると察知して回避しようとする。

だが、その回避が間に合う事は無く、顔左半分が抉れて地面に倒れ伏した。


「もう大丈夫ですよ」


「あ、ああありがとうございます。本当に危ないところ、助けてもらって。えっと、その……お礼は何を」


「いえ、礼など結構です。私が命の危機に晒された訳では無いので」


ミレアナとしては偶々自分の近くを通ったので助けただけだった。

しかしそれは駄目だ考える女性冒険者達は是非お礼させて欲しいと食い下がった。


女性達としては本当に九死に一生を得た様な感覚であり、言葉だけの礼では気が済まない。


そんな彼女たちの様子を見てミレアナは数秒ほど考え込み、結果を出した。

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