三百六十五話 やはり頭は回る
森の中から冷気を感じたソウスケ達。
直ぐに冷気が強く感じる方へと向かい、その原因を探ろうとした。
「これは・・・・・・」
原因の場所へと辿り着き、その場に君臨するモンスターの姿を見る。
「は、はっはっは。なるほどな、これは予想外だ」
ソウスケの目に映るのは水色のリザード。
ただし、その名はアイスリザードでは無い。
「発見されてから短時間の間に進化したようですね」
「そうみたいだな。これは、今日まで俺と遭遇しなかった感謝するべきか」
モンスターの足元には踏み潰された冒険者の死体があり、リザードが浴びた返り血は体に纏う氷を怪しく輝かせる。
「ブリザードリザードッ! 願ってもいない素材だなッ!!!!」
必ず手に入れてやる。その意志を全く隠さずにソウスケはいきなりブリザードリザードに飛び込む。
ソウスケ達の存在に気が付いていたブリザードリザードはいきなり地面に氷のブレスを吐き出し、地面を荒れたアイスリングへと変える。
「無駄だっての」
脚に火を纏ったソウスケにブリザードリザードの狙いは当たらず、ソウスケの足がアイスリングに着く前に纏う日によって熔かされる。
自身のフィールドに引きずり込んだと思っていたブリザードリザードは後方へ下がり、今度はソウスケに直接氷のブレスを喰らわせる。
(ッ!! 力の使い方良く解ってんなこいつ)
先程の地面に向かって放った程度のブレスであれば眼前に火の盾を生み出してそのまま突進しようと考えていたソウスケだが、放たれたブレスは一点集中型のものだった。
咄嗟に横に飛び、再び走り出すソウスケ。
「中々の威力ですね」
「そうだな」
ソウスケが躱した氷のブレスをミレアナとザハークも躱し、気にぶつかって一気に凍らせてしまうブレスの威力に多少の脅威を感じていた。
その後も一点集中型のブレスを繰り返し放つブリザードリザードだが、全て当たる事無くソウスケがその首を狙って近づく。
(体温が下がると知らぬ間にパフォーマンスが落ちるって言うしな。さっさと終わらせないと)
確実にブリザードリザードの体力を削りながら戦う方法もあるが、それだと時間が掛かる。
それにブリザードリザードの体に多く傷を残すことになるので、多く素材が欲しいソウスケにとってそれは好ましくない結果になる。
「お前の反射神経より、俺のスピードの方がどうやら速いみたいだな」
いつアイスリザードからブリザードリザードに進化したのかソウスケには分からない。
だが、ソウスケにはまだ動き慣れていない様に思えた。
(ブレスの扱いは慣れてるのかもしれないが、進化した体の扱いは慣れていないのかもしれないな)
距離が縮まったところで一転集中型のブレスを上に飛んで躱し、グラディウスに火の魔力を纏って切断。
流石に首を斬られればしっかりと死んでくれるだろうと思い、重力に身を任せて首を切断しようとする。
「ちっ!! やっぱ頭は回るみたいだな」
ソウスケが自身の視界から消えても、瞬時にどこに行ったのかを見つけ、更には拡散型のブレスで応戦。
(火の盾でガードしても良いんだが・・・・・・)
この距離で視界が悪くなるのは悪手だと判断し、跳躍スキルを使って回避。
着地をする前にウィンドカッターを放ち、氷の鎧を切り裂き、浅かったが背中裂いた。
人が空を駆けるという行動を知らなかったブリザードリザードはその一瞬の動きに驚きが隠せず、ソウスケに攻撃を許してしまう。
痛みはあり、血は流れているが動けない状態では無い。
ソウスケを完全に敵と認識したブリザードリザードは身に纏う氷の鎧を更に大きくし、完全に狙いをソウスケに定める。
しかしブリザードリザードの敵はソウスケだけでは無い。
「俺達の存在を忘れていないか?」
後方に両腕に水のドリルを纏うザハークとミレアナが放った火矢が迫っていた。
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