三百五十話 ソウスケが作った物を

「これで丁度だと思います」


「はい、確かに全部で二十個ですね」


トーラスの仕事部屋に二十ものエアーホッケーの台が入りきる訳も無く、商品の納品場にギリギリ収めた。

そしてトーラスから白金貨百枚を受け取り、ソウスケ達はトーラスと別れた。


「そういえばソウスケさんが造られたリバーシとチェスが物凄い勢いで売れている様です。きっとソウスケさんの商人カードには物凄い金額が貯まっていると思われます。一度商人ギルドでカードの内容を更新すればどれ程の金額が更新されている解ります。あっ、エアーホッケーの個人依頼に関しての功績もカードに反映されますので」


「分かりました。今日中に確認してみます。それじゃ、またある程度の数のエアーホッケーが完成したら来ますんで」


「かしこまりました。あっ、一つだけお願いしたい事があるのですがよろしいでしょうか」


「はい、今後の予定は急がなければいけないものでは無いので」


鍛冶や錬金術用に鉱石が欲しいソウスケだが、それ特別急がなければならない訳では無い。


「私のお得意様である貴族の方が是非ソウスケさん自らお造りになられたリバーシとチェスが欲しいとの事で。勿論お題はそれ相応の物を渡すと仰っていました」


「そ、そうですか。自分が造ったリバーシとチェスを・・・・・・解りました。ただ、どうせなら報酬に見合うそれ相応の物を作ろうと思うので少し時間を頂いても良いですか?」


「勿論です。完成は何時頃とお伝えした方がよろしいでしょうか? やはり一か月後ぐらいですか? お得意様は時間に煩い方では無いのでそれぐらいのお時間をとっても問題は無いかと」


トーラスはソウスケならば普通のリバーシやチェスでは無く、特別な素材を使った物を作りそうだと予想し、制作に必要な期間を提案した。


「分かりました。一カ月もあれば十分なので、一か月後にまた来ますね」


「かしこまりました」


(見栄を張るって訳では無いが、これから鉱山に行くんだしちょっと遊び心で作っても良いよな)


単純に木で作るのはつまらないと思ったソウスケは次の目的地である鉱山で採れる鉱石を材料にすると決めた。



商会を出て商人ギルドに向かう途中、ミレアナはソウスケにこれからの予定を尋ねる。


「ギルドで鉱山に関する事を調べてから向かうのがベストかと思いますが、どういたしますか?」


「それがベストだろうな。ギルドの情報は信用出来るし。というか・・・・・・分かってはいたが、ヤバい程に金が増えたな」


「そうですね。ソウスケさんが持っているモンスターの素材を売るとなれば、またヤバい金額のお金が手に入ると思いますが」


「・・・・・・あの時は単純に金が欲しかったからな。別に今は金に困る事は無いから売るつもりは無い」


「ソウスケさんは一気に富豪になったな。これからもエアーホッケーを作り続けるなら、とりあえず金に困る事は無いな」


エアーホッケーは絶対に壊れないという事は無いので、買い替えなどの事をかんがえればこれからまだまだ売れてゆく。


そしてソウスケは片手間の時間でどんどん作る時間を短縮していく事で、冒険中の野営であっても寝るまで作り続ける。


なので決して生産が追い付かなくなるという事は無い。


実際に注文を受け付けているトーラスは、このまま注文数が増えていけばソウスケの総資産額がいずれ中堅貴族の総資産額よりも上回ると計算していた。


(十五で一気に富豪か・・・・・・この世界でも前の世界でも十五でここまで稼いでいる子供なんていないだろうな)


貯まりに貯まる金をどう消費するかを考えながらソウスケは商人ギルドの中へと入った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る