三百三十六話 訊いてみる価値あり

「ソウスケは元々そういった遊びを知ってるの?」


「知識としては知っていると思いますが、実際に体験した事は無いと思います」


「実際に体験した事無いのに、最終的には勝つの?」


「はい。ソウスケさんは戦いの最中に色々と考え事をする方です。なので何度も遊んでいれば自然とどういう風に賭ければいいのか解るかと」


そもそも戦いにおいて勝てない勝負をするようには思えない。

ソウスケは金に関して余裕があるので、底を尽く事に怯えながらプレイする事無く攻略法を見つけるだろうとミレアナは考えている。


(それに、蛇腹剣の能力で得たスキルの中にギャンブルに役立つスキルがあるかもしれません。もし存在すればバレない程度に上手く使う筈です)


面倒事を嫌うソウスケなら欲に駆られて下手な真似はしない。

それはミレアナにとって確信に近いものだった。


「もしかして生粋のギャンブラー?」


「そ、そうではないと思いますよ。ただ上手くやれるんじゃないかと直感的に思ったので」


「直感ねぇ・・・・・・そのスキルを持ってる人って結構有利なんだよね。常に働くスキルだし」


「お知合いに直感のスキルを持った方がいるんですか?」


そこまで珍しいスキルでは無い。

駆け引きが重要な職業の者ならば習得出来る可能性は多少はあるスキル。

但し、実戦を積まなければ永遠にレベルが上がらないスキルなので、習得したとしてもそこまで役立つかといえばそうでもない。


「いるけど常時発動のスキルとは言え、こう・・・・・・感覚的にいける!!! って思える瞬間はそう多くは無いらしいのよ。でも、本当に稀にしっかりと来るらしいから何度かカジノで大金をゲットしたって話を聞いた事はあるの」


「あのニヤニヤ面は嘘では無く本当」


「あまり嘘をつけない方なんですね。ソウスケさんはルーレットとか得意そうだと思うんですよ」


「初心者向けのゲームね。私も初めてカジノで遊ぶ時はルーレットから始めたわね。あれって欲が出ちゃうと全部持ってかれる時があるのよねぇーーー」


「確かにリフィラはルーレットで負ける時は、大量にチップを失ってる」


ポーカーやダイスにブラックジャック等ではそこまで大敗する事が無いリフィラだが、ルーレットだけは偶に大きくチップを失って持ち手が殆ど無くなってしまう事もある。


「本当に謎よね。ルーレットって基本的には運で勝つか負けるか決まるのに」


実際は運だけで決まる事は無く、ある程度の策略と立ててプレイすれば利益を出す事は出来る。


「そういえば、ミレアナ達は普段どんな依頼を受けてるの? まだランクが変わって無かったら一階層から十階層辺りで低ランクのモンスターを倒してる感じ?」


「そうですね。ダンジョン内で達成できる依頼を複数受けてそれをささっと終わらせてから潜ってます」


「ミレアナ達なら、一層から十層のモンスターは全く相手にならない。寧ろ、モンスターの素材をあまり傷つけないように倒すのを面倒に思ってる?」


「意外とそうでもありませんよ。大体はソウスケさんの投擲で終わりますから」


ソウスケは一層から十層の間は適当に拾った石ころ自作の壺に詰めて何時でも投擲できるようにしている。


「低ランクの冒険者なら何馬鹿なことを言ってるんだって思う攻撃かもしれないけど、私達レベルになるとそれで片が付くしね。それにしても投擲か・・・・・・私もちょっと鍛えてみよっかな。ミナはどう?」


「私は腕力が元々低いから止めとく。でも魔法以外で簡単に出来る遠距離攻撃は欲しい」


「簡単に出来る遠距離攻撃、ですか・・・・・・」


(もしかしたら、ソウスケさんなら造れるかもしれませんね。スパイロードなんてマジックアイテムを造ってしまうくらいですし、ミナさんの要望通りの武器も造れるかも)


ミナの要望通りの武器を造る事が出来れば、魔法をメインに戦う人達の安全面が上昇する。


(ソウスケさんに訊いてみる価値有りですね)

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