三百三十七話 イケメン故の勘違い?
昼食を食べ終え、再び散策を始めたミレアナ達は主に日常的に着る服が売っている店を回った。
最初こそ三人は買い物を楽しめていたが、途中で中々にイケメンの冒険者三人組が三人に声を掛けて来た。
三人はCランクの冒険者であり、この街ではジーラス達ほど有名な訳では無いがある程度名が売れている。
特に三人とも容姿が整っているという事もあり、女性に人気のある冒険者として知られている。
そんな三人を妬み恨む冒険者も多いが、三人には持って生まれた才能と重ねた努力により得た確かな力があり、真っ向から喧嘩を売るような者はいない。
顔だけでは無い三人組の冒険者だが、酷い噂は無いがある程度女遊びをしているという話はチラホラと出ている。
その話は事実であり、三人は休日を使って今日の相手をミレアナ達に定めた。
向けられたイケメンフェイスに平民の女性ならコロリと、冒険者の女性ならいつもむさ苦しい顔を持つ冒険者達に囲まれているせいであっさりと落ちてしまうのだが、ミレアナ達達には「イケメンフェイスを放った。しかし全く効いていない」みたいなテロップが表示されそうなほど表情を変えない。
リフィラは確かに付合い、結婚するならイケメン顔の男性が良いとは思っているが、目の前の雄共の眼がどういった目的で自分達に声を掛けて来たのか直ぐに解ったので、一気にテンションが下がった。
ミナはそもそもイケメンという存在に興味が無い。
なので自身の胸に目が向いている同じ魔法職の男の視線に悪感を感じ、即座に氷漬けにしてやりたいと思った。
そしてミレアナに至っては目の前の三人は経験上、面倒な者と断定する。
男達はリフィラに一蹴されるのだが、そんな事は関係無いとばかり三人にとの距離を詰めようとするが、それと同時にミレアナ達も後方へ下がる。
こんどはミナも自分達に関わるなと伝えるが、イケメンたちは何故が照れているからこそこういう行動を取ってしまうんだと勘違いし、ますます気分が高揚する。
その後、リフィラの肩に手を回そうするが速攻で弾かれる。しかしそんな行為ですら照れて素直になれていないと解釈してしまうクソナルシスト三人組。
ミレアナもいい加減に鬱陶しく思い、「あなた達に一切興味は無いので消えてください」っと無関心な眼で伝える。
しかし自意識過剰が過ぎる三人組には全く効果が無い。
ここまでなら・・・・・・色々と問題が無い訳では無いが、ギリギリセーフ。
だったのだが、ここで三人組の一人がミレアナにとってのタブーに触れてしまう。
「あんなチンチクリンな寄生虫のガキといるより俺達と一緒に冒険する方が楽しいよ」
その言葉を言ってしまった瞬間、ミナとリフィラは顔を見合わせて大きく溜息を吐く。
そしてミレアナから発せられる威圧感によって周囲の温度が三度ほど下がり、他の客たちは肩が震えた。
興味が無い眼から敵意を発す目に変わり、無言で三人に近づくミレアナ。
三人はこんな状況でも脳内が真っピンクなのか、イケメンフェイスが崩れない。
しかし次の瞬間、三人の表情が苦悶に一変。
クソナルシスト共が一斉の股間を抑えて声にならない声を出して転がった事で、ミナとリフィラはミレアナが何をしたのか予想が付いた。
「容赦ないわねミレアナ。でも、それが正解よね。さっさと失せればこんなことにならなかったのに」
「リフィラの言う通り。ミレアナが股間を蹴らなかったら私が氷漬けにしていた」
殆どミレアナの動きを目で追えていなかった三人はようやく何故自分の息子の心臓部分が痛いのか理解した。
強いとは噂で聞いていたが、それでも油断した自分達でも対処出来るだろうと甘い考えを持っていた。
だがミレアナはほんの一瞬で身体能力スキルを発動し、ついでに風の魔力を纏って更に加速。
そしてミレアナは三人の股間に触れる事無く、寸で止めた衝撃を三回放った。
ミレアナとしては目の前で転がる男共の股間に絶対触れたくなかったので、自分の咄嗟の判断を褒めた。
「次私達に関わろうとすれば、一生女性を抱けない状態にします」
それだけ言い残してミレアナは早足で店内から去った。
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