三百十五話 隙間を空けない
ザハークから喰らった射撃からパラデットスコーピオンの上位種は一切反撃出来ないでいた。
パラデットスコーピオンの上位種の実力が低いからでは無い。
ジーラス達の言葉通り、複数のパーティーで挑まなければ必ず死人が出てしまうからだ。
なら何故多彩な攻撃を持ち、素の能力も高いパラデットスコーピオンの上位種が反撃できないでいるのか。
それは単純な話、ソウスケ達の攻撃に隙間が無い。
三人の内、誰かが放つ攻撃を避けるか防ぐ事は出来る。
しかしその後にカウンターを決める事が出来るのか?
否、その隙が全くと言って良い程無い。
ソウスケの斬撃を躱したと思えばザハークの水槍が迫る。
水槽を防いだと思えば、ミレアナの風矢と氷矢が迫る。氷矢が運悪く足の近くに着弾すればそこから氷が広がり、足を拘束する。
そのほんの何分の一という間に次の攻撃が着実と迫る。
再生のスキルを持っており、スキルレベルも高いので切断され部分や貫かれた部分は高速で元に戻る。
だがそれでも魔力は消費するので、常に使い続けている身体強化のスキルの消費に加えて更に消費魔力が多くなり、底が尽きるのも時間の問題となる。
まずは素手での格闘を主に戦うザハークを状態異常にしようと、パラデットスコーピオンの上位種はポイズンフルアームドを発動し、全身に毒の鎧を纏う。
これをカウンター狙い狙いで発動した為、腕にウォータランスを纏ったまま殴りかかった水槍に毒が伝わり、ザハークは毒状態になる。
自身の状態を即座に把握したザハークは即座にその場から離れ、状態異常回復のポーションをソウスケから渡された魔法袋から取ろうとする。
そこで途切れた一瞬が好機だと思ったパラデットスコーピオンの上位種はザハークに攻撃の的を絞ろうとする。
が、そんな事をさせないとばかりソウスケが圧倒的なまでの速さでザハークの前に回り込み、リザードマンの竜鱗のスキルを発動しながら全力で斬りかかる。
一人で三人分の隙を埋める様にな速度で斬撃を飛ばし、豪斬を振り、抉り斬り貫く刃を伸ばす。
その隙にザハークとミレアナは万全の状態で戦う為に魔力をポーションを飲んで回復させる。
(・・・・・・やっぱり少し違いがあるな)
蛇腹剣で抉り斬って貫いた傷とバアゼブレイヤで斬り裂き、風穴を空けた傷の再生する速度が微妙にだが違う。
そこでソウスケはバアゼブレイヤの斬撃数を更に増やす。
ここで蛇腹剣を仕舞ってもう一刀のバアゼブレイヤをアイテムボックスの中から取り出し、二刀で斬りかかった方が良いのかもしれない。
だが縦横無尽に動く蛇腹剣もパラデットスコーピオンの上位種の動きを阻害する一つだと判断し、この二刀のまま戦いを続行する。
そして二人の回復が終わったところで再度水槍の拳に加えて蹴りと風矢に氷矢が上空から迫る。
既に纏っていた毒の鎧はボロボロになり、元に戻そうにも再生と同時進行で行うにはあまりにも魔力の消費量が多い。
そんな戦いの中でミレアナが勝負に出た。
特大の風矢の中に仕込んだ複数の氷の爆弾。
その攻撃はミレアナの意志によって動かす事が出来るが、そうする前にパラデットスコーピオンの上位種が三本の尻尾に毒を纏いながら弾き飛ばそうとした。
だが結果は弾き飛ぶでは無く爆散。
結果、中に仕込んでいた氷に爆弾がパラデットスコーピオンの上位種の周囲や体の上に散らばり、円型の氷剣山の様に爆発する。
体の内部まで広がった氷に対し、先程の脚を奪われた時よりも止まる時間が長くなる。
そこにザハークの脚に纏った水の大斬とソウスケの刃に雷を纏った神速の斬撃が迫り・・・・・・その体を十字に裂いた。
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