三百八話 前兆かもしれない
「っとうしいっっっ!!!!」
多数のフォレストバードに向かって風の斬撃を放つソウスケ。
しかし殆どのフォレストバードは風の斬撃に刻まれる前に通り道から避ける。
「反応が良いな、クソが!!!」
遠隔操作で風の斬撃をバラし、多方向へ飛ばす。
完全に避けたと思っていた攻撃が死角から受けたフォレストバード達は一撃で殺られずとも、その一撃で確実に動きが鈍くなる。
その瞬間を狙ってゼロからマックスへ加速したソウスケは視界に相手が映ったほぼ認識出来ないまま、フォレストバードの首を切断していく。
ミレアナも多数のフォレストバードに対して面倒だと感じ、周囲に五本の風矢を展開しつつ自身も弓を構えながらフォレストバードに攻撃のチャンスを与えない為に走り続ける。
その間に五本の特別強化した風矢でアクロバットに動くフォレストバードを仕留めていく。
五本がある程度距離を空けて散っているのではなく、一羽に対して二本から三本を使って短時間で首や脳を確実に貫く。
そしてフォレストバード達が一定のラインを造った瞬間、貯めていた一本の風矢を放つ。
放たれた風矢は不規則に動きながらもフォレストバードが目で追える速度を遥かに超えながら急所を貫き、地面に倒れ落ちる。
「ふんっ!!!!」
自分にとってフォレストバードからの攻撃は大して効かないと判断したザハークは両指に魔力を貯め、タイミングを見極めて魔力を放つ。
離れた間合いから一瞬で眼前に迫る魔力の弾丸に対処出来る事無く、下半身を大きく削られ、顔を半分失い、片翼と体の一部がなくなり、バタバタと地面に落ちてゆく。
「これで全員倒した・・・・・・よな?」
「ええ。それにしても、随分と数が多かったですね。鳥系統のモンスターが群れで他のモンスターや冒険者を襲う事は良くありますが、それでもここまでの規模は珍しいですね。ザハークは今までダンジョン内で生きていた時にここまで規模の群れを見た事はありますか?」
「・・・・・・・・・・・・遠目にだが、見た事はある。その時もモンスターか冒険者かは分らないが、何かを襲っていた」
微かに残っていた記憶をザハークは思い出す事が出来た。
まだ過去の自分は希少種とはいえゴブリンのまま。
仲間と鳥系統のモンスターの群れとかなりの距離があるとはいえ、恐怖を感じていた事は確かに覚えている。
「もしかするとモンスターパレードの前兆でしょうか?」
「モンスターパレードって大量のモンスターが襲い掛かる現象だったか?」
「そうです。似たような物だと洞窟型のダンジョンは通路の側面に扉があることはあります。その中に入ると複数のモンスターが存在していたり、もしくは宝箱が置いてある可能性もあります。ですが稀に部屋に入った瞬間に扉が完全にしまり、部屋の中に無数のモンスターが溢れ出すというモンスターハウスという現象もございます」
「密室に大量のモンスター・・・・・・地獄だな」
ザハークの言う通りモンスターハウスには幾つか種類があり、現れたモンスターを全て倒せば部屋の扉のロックが解除される。
一定時間の間モンスターが増え続け、全てのモンスターを倒せばロックが解除される。
そして最後に現れたモンスターを全て倒せば最後に中ボスといった感じのモンスターが現れる。
そのモンスターを倒せば確実に宝箱が現れる。中身はかなり上等という事で、デメリットしかないという訳では無い。
だが、最後に現れるモンスターは並大抵の強さでは倒せず、明らかに階層違いの力を持つモンスターが現れる事も珍しくない。
現在ソウスケ達が探索している階層は三十四階層。
ここでモンスターパーティーが起こればどれ程の強さを持つモンスターが現れるのか・・・・・・想像するだけで冷や汗が出る。
(ダンジョンの情報通り明らかに状態異常を含んだ攻撃を使うモンスターが増えている。そんな奴らが大量に集まって攻撃とか、考えるだけでゾッとするな)
無いとは信じたいが、何が起こるか分からないのがダンジョンなので、ソウスケは事前にどうするかを考えながら一先ずフォレストバードの死体を回収する。
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