三百九話 希望が来た

フォレストバードの大群してから一時間程進んだところで、離れた所から突然氷柱が現れた事を発見したソウスケ達。


「ミレアナ、聴力を強化して探ってくれ」


ミレアナに何が起こっているのか確認を頼みながらも、ソウスケは気配察知を限界まで伸ばして確認しようとする。


(っ!!! 全部は確認できなかったと思うが、一部は確認できた・・・・・・けどこれで一部って事は半端な数じゃないモンスターが誰かと戦ってるって事か!!???)


限界ギリギリまで気配察知を使った事でソウスケの眼は充血していた。


「やばっ、ちょっと無理し過ぎたか。ミレアナ、規模的にはどんな感じだ?」


「おそらく百以上のモンスターが冒険者を襲っているかと」


「冒険者の方が何人いるかは知らんが、流石に見て見ぬ振りできる規模じゃないな。行くぞ」


目立ちたくない。

それが第一信条のソウスケだが、こういった時に見過ごそうとしないところが好感を持てるところだとミレアナとザハークは再認識した。


全速力で密林の中を駆けるソウスケ達。

走って走って走って気を躱し、また走って走って走る。

道中にすれ違ったモンスターは全て無視。速度的に躱せない相手は蹴とばす。


今の場所は三十四階層、ソウスケのこの街で数少ない知り合いが探索しているかもしれない階層。

そう思うとソウスケの脚は自然と速くなる。


そして眼前に見えたモンスターの大群。その隙間から見えたジーラス達四人。

四人がまだ生きている姿が見えたソウスケは安堵しながらも気を引き締め直し、大群の中心に割って入る為に蛇腹剣を使って身体強化を二重で発動し、最大限にまで加速。


更に右足に風の魔力をドリル状に纏い、体術スキルで習得出来る飛翔脚を放つ。


「どっ、けぇぇぇぇええええええええーーーーーーーー!!!!!!!」


ソウスケが放つ渾身の蹴りは見事にジーラス達の逃げ道を塞ぐ壁となっていたモンスター達を抉り、吹き飛ばしながら着地する。


その隙間からミレアナとザハークも一気に加速して中へ入り込む。


「ソウスケっ!!?? お前どうしてここに」


ジーラス達は急にモンスター達が吹き飛んだ事に驚くが、それ以上にいきなり現れたソウスケ達に驚く。


「いきなり氷柱が現れてミレアナの耳で確認したところ、尋常じゃない数のモンスターがいると解ったんで全速力で来ました。俺達も戦います」


蛇腹剣を通常状態に戻し、グラディウスを抜いて完全に臨戦態勢を取る。


「私達も戦わせていただきます」


「自分も、接近戦をメインに戦わせて貰う」


弓に魔力の矢を装填し、全身に闘気を漲らせる二人を見て自然とジーラス達の表情にも戦意が溢れる。


「よっしゃ!!! お前ら、ソウスケ達も来てくれたんだ。さっさとこいつらをぶっ潰して地上に戻るぞ!!!!」


「おうっ!!!!」「勿論!!!!!」「当たり前!!!!!」


バルスは大斧を、リフィラは二つの短剣を、皆は杖を構える。

全員が戦意に満ちた状況になり、モンスター達がいきなり吹き飛ばされた他のモンスターに気を取られている間にソウスケ達は関係無いとばかり仕掛ける。


ジーラスの長剣がソウスケの蛇腹剣とグラディウスと同様に風を纏う。


「さっきまでの俺らとは違ぇからなぁーーーー、覚悟しやがれ!!!!!」


もう何も恐れる事は無い、背を心配する必要は無い。

仲間の危機を気にする必要が無くなったジーラスは水を得た魚の様に戦場を駆け回り、すれ違いざまにモンスターを切断する。


マジックアイテムの靴の効果によりウィンドアクセルを使ったミレアナと同等の速さで駆け回るジーラスにモンスター達は殆ど反応出来ず、次々に命を落としていく。

遠距離から攻撃するモンスターもおり、ジーラスの動きに反応出来るモンスターいる事にはいる。


しかし一振りで倒せないと瞬時に判断したジーラスは切断する事よりダメージを与える事を重視する。

遠距離から放たれる攻撃に関しては完全にジーラスの影を踏む状況となっており、それはソウスケに同じことが言えた。


ザハークに関しては自分に当たりそうな攻撃は魔力を纏った拳で弾き返している。

前衛は完全に息を吹き返した状態になった。

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