三百七話 納得
双方のウィンドランスがぶつかり、二度目の相殺。
しかしここでソウスケはセンチネルが放ったウィンドランスが先程の物とは違う事に気が付いた。
(なんか液体を撒き散らしてる?)
不安を感じたソウスケは自身の周りを風のベールで覆いながら後方へ下がる。
そして風が止むと、地面には所々溶けている部分があった。
(酸か? にしては色が紫だし・・・・・・もしかして酸性の毒か。ウィンドランスにそれを混ぜて飛ばしてたのか。早めに気付いて良かったーーー)
毒を喰らってもソウスケが持つ耐性ならば直ぐに死ぬ事は無いが、それでも隙は生まれてしまう。
自身の攻撃が失敗に終わったセンチネルは特に慌てる事は無く、次の攻撃に移る。
「だ、ダンゴムシみたいになったな」
自身の体を丸め、ギリギリ体を一周させたセンチネルはそのばで勢い良く回転し始める。
(おいおいおいおい。体を切断されても動けるのは解るし、再生も出来るんだろうが失った血までは戻らないよな。それにそんな派手に動いてたら切断面から血が大量に出ないか?)
センチネルの行動に疑問を持つが、ソウスケの考えが纏まる前に動き出す。
回転しながらの突進にソウスケは万が一に備えてウィンドカーテンを発動しながら回避する。
「音が結構うるさいな」
ゴロゴロと切断されたて体長が縮んだとはいえ、体重が重い事に変わりはないので高速回転しながら転がる音は多少なりとも冒険者達の苛立ちを募らせる。
そしてセンチネルの攻撃を躱していく中でソウスケはまた疑問が浮かんだ。
(・・・・・・あいつが移動している部分に血が殆ど付いていない。これだけ派手に動いてるんだったらもっと血があちこちに飛び散っていても可笑しくない筈なんだけど・・・・・・まぁ、どうでも良いか。倒せば結果は一緒だ)
考えるのを止めたソウスケは高速回転で突進してくるセンチネルに突風をぶつけ、少しの間だけ動きを止めた。
その数瞬でソウスケはバアゼブレイヤを振り下ろした。
縦に一刀両断され、体が半分になったセンチネルは斜めに進行方向がズレ、ソウスケの両側を通る。
そして直ぐ近くの木に激突してようやく停止した。
「心配していた攻撃は結局来なかったな」
ソウスケはセンチネルが毒液を吐きながら攻撃してくるかもと思っており、その対策として自分の前にウィンドカーテンを発動していたが、結局魔力の無駄遣いに終わった。
「はっ? これはどういう・・・・・・そうか、そういう事か。全身を再生せずに切断された面を完全再生していたから血が飛び散っていなかったのか」
センチネルの殻だから血が流れていなかった理由が解ったソウスケは物凄くスッキリした気分となった。
「それにしても本当に昆虫系のモンスターに対して切れ味がヤバいな。そこまで力入れてなかったのにスパッと綺麗に斬れたからな」
昆虫系のモンスターの中でセンチネルの防御力は高い方ではないが、それでもランクCのモンスターの中ではそこそこの防御力を持っていた。
にも拘わらずあっさりと斬り下ろしてしまう切断力。
今回の戦いでソウスケは身体強化のスキルを使っていなかったので余計に驚いた。
「時間を掛けずに圧勝でしたね。ただ・・・・・・バアゼブレイヤの切れ味は凄まじかったっですね」
ソウスケならばバアゼブレイヤを使わずともセンチネルと戦って圧勝する事は出来る。
それは解っているが、ソウスケが身体強化のスキルを使わずにここまで速く倒せたのはバアゼブレイヤのお陰だとミレアナは理解している。
ミレアナの眼から見てもバアゼブレイヤの刃がセンチネルの体を切断する時の滑らかさは異様だった。
「まさにインセクトキラーの名に相応しい切れ味。ただ能力がそれだけでは無いところがまた恐ろしい。またソウスケさんに切り札が一つ増えたましたね」
「そうかもしれないがザハーク。こいつは明らかに人前で使えない武器確定だ」
ただ状況によっては使わなければいけない時が来るかもしれない為、何かしらの隠蔽道具今のところソウスケが一番欲しい魔道具だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます