二百八十八話もう一度遭遇したい
ギルドを出た後、ソウスケは当てもなくプラプラと街を歩いていた。
(本当に今思えば十五・・・・・・正確には十六か? のスキルをレベル五の状態で持っていて正解だったな。無詠唱とかの技術とかは多分個人のセンスによって習得できるかどうか変わって来るスキルだから直ぐに出来る様になってもそこまで不思議には思わなかった)
言葉を発さずに詠唱を完了させる。
始めに詠唱を行って魔法を発動した際の感覚を覚え、その感覚を暗算の様に繋げば簡単に出来てしまった。
勿論無詠唱を覚えたてのソウスケが直ぐに殆どタイムラグ無しで魔法を発動出来た訳では無いが、徐々にその差を無くす事に成功する。
(けど魔法そのものや剣術とかに関しては素人だからレベルが上がるかどうかは普通に心配だよな・・・・・・普通なら)
自身に全ての才能が備わっていない事はソウスケ自身も解っており、思い通りに動かせる体を手に入れた事で躱せるようになった攻撃も多い。そのあたりは身体強化のスキルやレベルが上がれば自然と身体能力が上がるというこの世界の制度の感謝している。
しかし剣術や槍術に斥候の技術や魔法の才能に関して、もし最初のレベル五の状態にスキルが大量に無かったらとヤバかっただろうなと思うソウスケだが、よくよく考えれば殺したいモンスターや人間の死体を喰らう事でスキルを吸収出来る蛇腹剣があればそこまで苦労もしなかったのではとソウスケは指に嵌めている形態を変えた蛇腹剣を見て思った。
(喰らったモンスターや人間のスキルを扱えるだけじゃなく、喰らったモンスターを蛇腹剣に反映する事も可能。一回試したがどんなに攻撃しても修復する壁に当たった斬撃が思った以上に斬り裂いていたからな)
勿論その跡は直ぐに修復された。
それでも斬り裂いた深さはそのまま階層を貫けるのではとさえソウスケは思った。
(なんだなんだいってランクが高いモンスターは蛇腹剣に喰らわさずに素材や肉の状態で残してあるからな。でも、ダンジョンのモンスターなら何回でも出るんだし、そこら辺は焦る必要は無い)
コボルトキングにワイバーン。ソウスケとしては是非蛇腹剣に喰らわせたかったモンスターだが、その素材や魔石に肉が惜しいと思い、アイテムボックスの中にしまってある。
(ランドリザード? もアイテムボックスにしまってあるからなぁ・・・・・・あいつに関してはマジで偶然現れたモンスターだろう。草原に土のドラゴンって普通はあり得ないだろうし)
そして街をプラプラと歩き続けたソウスケは一つの店が目に留まった。
「・・・・・・ポーションとかを売ってる店って事で良いのか?」
少し興味が出て来たソウスケは店の中に入る。
店の内装は豪華と言う訳では無いがしっかりとしていた。
「おや、お客さんか。一人かい?」
「はい。今日は休日なんで一人です」
「そうかいそうかい。まぁ、のんびり見ていってくれ」
店の店主であろうおばあさんは面白いものを見る様にソウスケを見ていた。
ソウスケは最初に訪れたポーション等を売っている店のお婆さんを思い出していた。
(錬金術を扱ってポーションやマジックアイテムを売る人はお婆さんって決まってるのか? というかこっちを見ている気がするけど・・・・・・まぁ、気にしなくても良いか。それより一応最下層のボス戦に備えて状態異常を回復させるポーションは用意してるけど、それが効くかどうかは実際喰らって使用していないから分らないしな。今持っている物より上等なポーションがあるなら買っておきたい)
置かれてあるポーションの種類が書かれてある木札を見ながら欲しい物があるかを探す。
(・・・・・・まてまてまて。前に見た店に置いてある回復系のポーションより数段高い物が普通に置いてあるんだが・・・・・・なんでだ。しかも値段はレア度が上がれば勿論高くなっているけど良心的価格な筈)
最近金銭感覚がマヒしてきたソウスケはその価格が正常なのかしっかりと判断する事は出来なかった。
そして偽物では無いだろうと思いつつも、鑑定のスキルを使って本物かどうかを調べる。
(ほ、本物だ。あ、あのお婆さんそんなに錬金術の腕が高いのか!!??)
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