二百二十一話侮れない脚力
「耳での攻撃かぁ・・・・・・うん、ある程度は予測した。取りあえずそっちは俺とミレアナで仕留めようか。そんでっ!? ちっ! まぁ、そりゃ話し合いが終わるまで待ってくれるわけないか」
ラージアスラビットは自分とミレアナで倒すと決め、ザハークにどうするかを聞こうとしたところでオークが手に持っていてる棍棒を振り回して突っ込んできた。
「ソウスケサン、コイツハオレガタオシマス!!!」
「・・・・・・よし、そんじゃオークは任せたぞ。ミレアナ、牽制の方を頼む!!」
「分かりました!!」
収納袋から矢筒を取り出したミレアナは即座に方に掛け、矢を取り出し弓を引く。
勿論本気を出せばラージアスラビットを即死に、もしくは致命傷を負わす事が出来るが主人であるソウスケから要望は牽制な為、ギリギリのラインで攻める。
「まずは様子見だ」
良くも悪くもないロングソードを取り出し、ソウスケはミレアナの矢から逃げるラージアスラビットへ近づく。
得物を持っている相手に不用意に接近戦をしたくないラージアスラビットは出来ればその場から左右に飛び出したかったが、そうすればミレアナが放つ矢の格好の的に成る為ソウスケとの接近戦を避けるという判断を消す。
「シュア!!!!」
両足を使って前方へのドロップキック。
ウサギの最高速度は約六十~八十キロ、そしてウサギ型のモンスターともなれば速度は更に上昇する。
百獣の王、ライオンからも逃げ切る事が出来る脚力から放たれる蹴りは並み大抵の威力では無い。
初速から放たれる蹴りなので最高速度から放たれる蹴りと比べれば軽いかもしれないが、それでもランクの低い冒険者が真正面から喰らえば、体格が良く大きな盾を持っているタンクでなければ防ぎきる事は出来ず後方へ吹き飛ばされてしまう。
「っとっと、中々力強いドロップキックだな」
しかしそれをソウスケはロングソードを魔力で纏って強化し、腹の部分で受け止める。
ラージアスラビットのドロップキックを受け止めたソウスケに傷は無いが、その場でドロップキックの威力を全て受け止める事は出来ず、後ろに足がズルズルと下がる。
自身の蹴りを受け止められたラージアスラビットは直ぐにロングソードの腹を足場代わりにして後方へ飛ぶ。
そして今度は身体強化のスキルを使い、初速を高めて再度ソウスケに近づく。
しかしそれを易々とミレアナが許す訳は無く、こちらも矢の速度を速めて牽制する。
ソウスケの真正面から突撃すれば格好の餌食になると考えたラージアスラビットは左右に跳びながら徐々にソウスケとの距離を近づける。
(ボクシングで言うフットワークか。あの脚力でああも速く動かれたらちょっと面倒だな)
動いている方向は左右のみだが、それでも着地地点にいる時間はほんの数秒な為、今のラージアスラビットに攻撃を当てる事は難しい。
ミレアナもラージアスラビットの動きを見て矢を使っての牽制を止める。
ただしソウスケへの援護を止めた訳では無い。
(動きは大したものですがワンパターンなのは変わりませんね)
ソウスケの方へ視線を向けると目が合い、お互いに何を考えているのかが分かった二人は直ぐに行動へ移す。
ラージアスラビットの動きはDランクの枠内では確かに速いと言えるが、それでも直線的な動きには変わりない。
そしてソウスケへの接近方法は左右に動きながら近づくのみ。
なので二人にとってはある程度動きが読みやすい。
「これで逃げ先は無いですよ」
右へ動いたラージアスラビットに対してミレアナは反対方向の左へ三本の矢を放つ。
ジャストタイミングで放たれた矢はこのまま行けば左へ動こうとするラージアスラビットに直撃する。
それを理解出来ないラージアスラビットでは無く、死にはせずとも重傷を負う可能性はある為、左に流れそうになった体を留める為に足に力を入れて踏ん張る。
「ファイヤーボール」
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