二百二話使い道
ダンジョンから地上に戻って来たソウスケとミレアナは直ぐギルドには向かわず、少し露店で料理をつまんで休憩してからギルドへと向かった。
「地上に戻ってきて思ったけど、ダンジョンの入り口前っていつもあんなに騒がしいと言うか、活気があるんだな」
「そうですね・・・・・・流石に夜、夕方辺りからは落ち着くと思います。ここのダンジョンは外の時間帯と中の時間帯が一緒みたいですから」
「なるほど。確かに日が暮れ始めや夜からダンジョンに入っても探索する時間が殆ど無く、直ぐに野営をする事になるか」
草原では太陽が沈めば明かりは冒険者達が野営時に使っている焚火ぐらいしかない。
なので全くの無駄とは言えない。寧ろ夜行性のモンスターが狙いならばそういったタイミングでダンジョンに入るのも悪い選択肢では無い。
しかし探索目的でダンジョンに入るならば朝か、昼のタイミングで入らなければ碌に目的を達成する時間がない。
「ダンジョンには夢も金もあるから冒険者も商人も必死になるのは当たり前か」
「ソウスケさんは以前野良のダンジョンも攻略した時のボスはワイバーンでしたね」
「おう、その一つ目のボスがオークジェネラルだったからオークキングが最後のボスかと思っていたんだけど当てが外れて面食らった。再生のスキルを持っていない筈なのに異様に傷の治りが速かったからな」
「それはきっとドラゴン特有の生命力によって為せる治癒ですね」
モンスターの中でしぶとさランキングトップクラスのドラゴンはミレアナの言う通り自身の生命力によりある程度の傷ならば失われた血までは戻らないが、ある程度完治する事が出来る。
疑問に思っていたしこりが取れた事でソウスケはスッキリした気分になる。
「その種族特有の持ち味か・・・・・・厄介極まりないが、その分素材や魔石には期待できるって事だろう」
ソウスケはワイバーンの肉の味を思い出し、厄介な技や特性持つモンスターであってもそれだけの利益があると確信していた。
「その通りですね。ところでソウスケさん・・・・・・」
「ん? どうしたんだ急に小声で」
ソウスケに質問するミレアナは周囲に内容を聞かれたくない為、小声でソウスケに確認したい事を尋ねた。
「野良ダンジョンのダンジョンコアは回収したんですか?」
「お、おう。勿論回収したぞ。ダンジョンを探索している最中に一回も自分以外の人間を見なかったから」
「やっぱり・・・・・・あ、あとでそのダンジョンコアを見せて貰っても良いですか?」
ハイ・エルフの集落が管理していたダンジョンにミレアナは潜った事があるが最下層まで言った事は無く、ダンジョンコアを見た事が無かった。
「ああ、別に構わないぞ。そのダンジョンコアはいつかマジックアイテムを錬金術師に造って貰う時にでも材料として渡そうと思っているんだけど、どうだ?」
「良い選択だと思います。ソウスケさんは特にお金には困っていませんし、それならばこれからの冒険で役に立つマジックアイテムを名のある錬金術師に造って貰うのが一番良い使い道ですね」
モンスターから回収できる魔石と比べると遥かに大きいダンジョンコア。
武器としてのマジックアイテムを造るのにも、ダンジョン探索や野営で約に立つマジックアイテムを造るにしても性能を上げるための貴重な素材となる。
「だろ。さて、ようやくギルドに着いたな。取りあえずギルドの受付嬢の対応は頼んだぞ」
「任せてください。なるべく問題を起こさない様に対応します」
凛とした表情で答えるミレアナを見て安心するソウスケだが、ミレアナの言葉をもう一度頭なのかでリピートするともしかしてフラグなのでは? っと思ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます