第36話棚から牡丹餅、かな?

ソウスケが街を出てから、二十分後。ソウスケの前に目的のモンスター、スライムが目標数以上、十数体いた。


「うん、ダンジョンで見たスライムと変わんないな。こう・・・・・・ドラ〇エみたいなプルっとしたのじゃなくて、どろっとした感じなのが残念だ、な」


スライム達は、ソウスケを敵と判断し、酸を飛ばしてきた。

だが、速さはなく、量も少なく、狙いもそれほど定まってはいないので、複数の場所から離れても、ソウスケは余裕で避けていた。


「スピードは遅いし、狙いも微妙。でも、酸てのはやっぱり強力だよな」


ソウスケは酸によって、溶けて抉られている地面を見て感心していた。


「スライムキング、ってのぐらいになると桁違いになるのかな? 色々考えは尽きないけど、今は依頼を完了させるか」


ソウスケは手から魔力を手の形にした物を作りだし、一体ずつスライムの魔石を取り除いて行った。


「スライムは基本的に、素材をとるか魔石を取るかだからな。あ、確かどこかに脳? みたいなところがあって、そこを攻撃すれば両方とも手に入るんだったかな? まぁ、俺には俺のやり方があるから、関係ないな」


一般的な人から、ソウスケのやり方を見ると、かなり普通ではない。

そもそも魔力を手の形に変形させるという、発想が出てこない。


「さてと、バックの中を水でコーティングしてと、場所も分けて・・・・・・これでよし」


ゼルートは、バックの中を寒天やプリンみたいに、ブルンとした水の魔力を性質変化させたところに、スライムのどろっとしたゼリーを入れた。これでバックの中が汚れたり、濡れたりしなくなる。


バックの外側が、湿ったりしていないのを確認してから魔石も回収し、ソウスケは後二つの標的、ポンズマウスとホーンラビットを探し始めた。



探し始めて五分が経った頃、ようやくソウスケはポンズマウスを見つけた。


「数は、六体か。依頼数よりは多いけど・・・・・・俺を襲う気満々だし、そこら辺は関係なさそうだな」


普通のネズミより、二回りほど大きいポンズマウス達の突進を、表情を崩すことなく避けていたソウスケは、ダンジョンの中にはいなかったので、どんなスキルを持っているのか、一応調べてみた。


「あんまり期待はしてないんだけど・・・・・・おっ、案外そうでもなかったみたいだな。良いスキルを持ってるじゃないか。レベルは低いけど」


ソウスケが鑑定のスキルを、ポンズマウスに使った結果、毒牙というスキルを持っているが分かった。


「毒牙か・・・・・・毒系のスキルを持っているモンスターは、ダンジョンの中にいなかったからな・・・・・・好都合だ」


ソウスケは周囲に誰もいないのを確認し、アイテムボックスの中から、蛇腹剣を取り出した。


「こいつに喰わせるとするか」


捕食者の目になったソウスケを見て怯んだ、ポンズマウス達は動きを止めてしまった。

ソウスケはその隙に蛇腹剣を伸ばし、三体のポンズマウスを殺し、蛇腹剣に喰わせた。


「・・・・・・よし。どうやらスキルは手に入ったみたいだな。といっても、レベル自体は低いからのんびり、伸ばしていくとしよう」


残った三体のポンズマウスは、依頼達成のためにそこら辺に落ちていた、木の枝に魔力を纏い、プスっと脳を貫いて終わらせた。

三匹とも倒し終わると、ソウスケは魔石の回収と討伐証明部位の回収を始めた。


「確か討伐証明部位は、尻尾だったな。そんで魔石は・・・・・・ちっせ。俺の小指の第一関節より小さいんじゃないのか? まぁ、元がこんだけ小さいんだから、しょうがないか。捨てるのはもったいないし、一応持っておくか」


スライムの魔石と違って、本当に小さいポンズマウスの魔石は、売っても殆ど価値がないと思い、自分が錬金術で使う時が来るかもしれないと思い、アイテムボックスの方にしまった。


「さて、最後はホーンラビットだな。・・・・・・ホーンて言うぐらいだから、角が生えているんだろうな」


想像は出来るが、元々日本に住んでいたソウスケにとっては、動物の元々の姿を知っているだけに、違和感バリバリだった。



歩き始めてから、十分の間にゴブリンに、木の上からソウスケは襲われたが、奇襲が成功したと思い、声を漏らしていたゴブリンに、ソウスケが気づかない訳もなく。振り下ろしてきた棍棒を素手で止め、奪い取って逆に頭を潰して絶命させた。


仲間がやられたことで、木の陰に隠れていた数体のゴブリンが声を上げてしまった。

そのおかげで、ソウスケは全員の場所が分かり、木の棍棒で全員の頭を軽く、服に血が付かないように横から潰した。


そして現在、ソウスケの想像通りだが、以上に思えるモンスター。ホーンラビットが目の前にいた。


「うわ~~~~~、本当に角が生えてるんだな」

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