第37話ラッキー

「というか・・・・・・群れてばかりいるから、余計に探さずに済んで楽だな。今度は数がぴったりの五匹だし」


ソウスケが、依頼のモンスターを探していると。幸運にも依頼達成に必要な数と同じか、それと以上の纏まった数と遭遇している。

本当の初心者にとったら、そこそこ纏まった数のモンスターの群れと遭遇するのは、怪我をする可能性高くなり、出来れば避けたい状況だが、ソウスケにとっては余計に探さずに済むので幸運な出来事だった。


少しの間ホーンラビットがソウスケを様子見していると、スライムとポンズマウス同様敵と認識し、額にある角でソウスケの体を串刺しにしに来た。


「っと。やっぱりそういった戦い方をするよな」


ソウスケは予め、ホーンラビットがどんな戦い方をするのか想像出来ていたので、軽く躱してから頭に一撃を加えた。

ソウスケに頭を殴られ、吹っ飛ばされたホーンラビットは見た目では分からないが、ソウスケの一撃で脳が潰れており、直ぐに息絶えた。


それからもう三匹のホーンラビットは、同じような行動をし、一撃でソウスケに倒された。


そして最後の一匹となったところで、残ったホーンラビットが他のと比べて少し違うことに気が付いた。


(ん? こいつ・・・・・・他の奴と比べて、毛の色が少し濃いな。それに角も少し長い。もしかし上位種なのか?)


上位種は総じて、普通の個体と色だったり体の大きさが違ったりするので、ソウスケは直ぐにそうなのではと思った。


他のホーンラビットと比べて、少しは違う戦いをするのかとソウスケは予想したが、変わらずソウスケに向かって角を刺しに来た。


(まぁ、上位種って言っても、オークみたいにそこまで違いがあるわけでもないし、速さは他のホーンラビットと比べて速いかもしれないけど、俺にとっては誤差の範囲でしかないしな。取りあえずこれで終わり・・・・・・)


ホーンラビットの頭に一撃を加えようとしたところで、ソウスケは目の前のホーンラビットが他のと違う行動をとっている事に気が付いた。


(空中で方向転換をしている・・・・・・まさか、そういうことなのか?)


空中で方向転換したホーンラビットの上位種は、空中でもう一度駆けることで、ソウスケの体めがけて飛んできた。

ソウスケにとって、確かに不意を突かれた行動だったが、反応できないわけでは無かった。


「っと、ん~~~~なるほど。跳躍ってスキルのおかげか。空中を駆けることが出来るスキルか・・・・・・良いな」


「~~~~~~~~~っ!!!???」


角を捕まれたホーンラビットの上位種は、どうにかしてこの状況から脱しようと、ジタバタしたが何とかできはずもなく、ソウスケの拳によって脳を潰された。


「依頼数の数に足りなくなるけど、こいつは喰っておくか」


ソウスケはアイテムボックスの中から蛇腹剣を取り出し、ホーンラビットの上位種を喰った。

喰い終わると、スキルを取り込めた事確認した。


「跳躍・・・・・・少し試してみるか」


ソウスケは直ぐにアイテムボックスの中に蛇腹剣しまわず、跳躍のスキルを試すことにした。


「空中でもう一度駆けるんだよな・・・・・・しっ!!」


軽くジャンプし、落ちそうになってから、そこに足場があると思いもう一度が右足で宙を蹴った。


「うおっ!? っと・・・・・・はは、これは使えるな。まだ何回も飛べるわけではないけど、そこら辺はレベルを上げて行けばいい事だな。さて、一匹は喰ってしまったから、もう少し探さなきゃな」


ソウスケは魔石と、討伐証明部位である角を引き抜き、もう少し森の中で、ホーンラビットがいないか探した。


結果、もう三匹見つけた。

そして自分が持っているスキルの中に、木工があったのを思い出いし、途中で木を何本か切り倒して細かく切り分け、アイテムボックスの中にしまい込んだ。

目的が達成してから約三十分後、ソウスケは日が暮れる前に街に戻って来た。


それからギルドに入る前に、少し露店で腹を満たし、木を削る道具とやすりを狩ってからギルドに向かった。


「よっと。うん、酒場が中にあるから相変わらず、酒・・・・・・エールの匂いがするな」


ソウスケはまだあまり慣れないエールの匂いに、鼻をつまみながら受付に向かった。

そして受付嬢にギルドカードを見せ、受けた依頼内容を話し、討伐証明部位と魔石を出した。


ソウスケのギルドカードに載っているランクと、ソウスケがバックから取り出した素材と魔石の数を見て、一瞬驚いた顔になったが、そこはプロで直ぐに確認を行い、依頼達成分の報酬と魔石を換金した分のお金を持ってきた。


「これが今回の依頼の報酬と、魔石を換金した分のお金になります。お疲れ様でした」


「どうも」


報酬をもらったソウスケは、バックにしまい込み宿に戻ろうすると、ソウスケの方に四人の冒険者が向かってきた。

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