第2話 作戦会議
喫茶店「コーヒータイム」にやって来た、
最近開店した喫茶店でまだ新しい。
コーヒーとクッキーが運ばれて店員が去ると少女は話はじめた。
「あ、店長だ。昔はイケメンだったって言ってたけどまあまあですね。このクッキー本当に昔から変わらない味って本当なんだ」
「へぇ、この店続くんだ。いい雰囲気だもんな」
「そうなんです。お父さんも一緒に来ることもあるんですよ」
気になる・・・
見た目が同い年位なのに敬語と「お父さん」呼び。
「ねえ、そのしゃべり方と『お父さん』呼び、何とかならない?」
「お父さんは、お父さんですし、親にタメ口出来ないです」
これは親のしつけが凄いな、あれ僕か?それとも母親の方か?
「でも傍から見たら違和感あるし、『お父さん』って言われると変な目で見られるよ」
「そうですね・・では【遠い親戚で小さい時から会っているから『お兄ちゃん』て呼んでる仲の良い、いとこ】って設定にしましょう」
「わかった、そうしよう。『お兄ちゃん』も怪しい気もするけど・・あと気軽に話していから」
「うん、わかった。でねお兄ちゃん、本題に入るね」
早い!切り替えが早い、演劇部もビックリの切り替えだ。
「ちょっとまって、僕は『お兄ちゃん』でいいけど君はなんて呼べばいい?」
「そうね、『未生(みう)』って呼んで。呼び捨てでかまわないわ」
「未生、じゃ本題って何?」
未生は一冊の本を取り出したかなりボロボロだ、タイトルは『僕は主人公になれない』ラノベだ。
「美紀さんはこのラノベのファンなの。これをきっかけに話をするの。重要な部分や美紀さんの好きなフレーズにはチェックを入れてるので覚えてね」
「なるほど、それは話しやすくなるな覚えておくよ」
「あ、ちなみに新刊が明日だから今日までに全部覚えてね」
「明日?!突然すぎだよ、一夜漬けの勉強じゃないんだから・・」
「だめ!明日本屋で偶然に美紀さんと出会うようにして、この話をして好感をもってもらわなきゃ」
『偶然』に『会うようにする』って変な響きだ。
「ああ、大変だ今夜は徹夜かな・・・」
「じゃ、明日15時に駅近の本屋のラノベコーナーに居てね。美紀さんはその本買ってすぐ帰るから絶対にそこにいる事!」
じっとこっちを見てほほ笑む。
「さて、お兄ちゃんには頑張ってもらわなきゃいけないから私は今日は帰るね」
「未生、帰るってどこへ?」
「ひみつ!女子は多少秘密がある方が魅力的なのよ。未来に帰るわけじゃないから安心して。じゃあまたねお兄ちゃん」
未生は店から出て行った、親にに魅力を感じさせてどうするんだ娘よ・・
あれ?コーヒー代は僕持ち?
まあ、親なら出してもいいかな、いや、今は同年代だから未来で未生がバイトをした時に返してもらおうかな。
家に帰って本を読む、マーカーや『ここ感動ポイント!』なんて可愛らしい女性の文字で書いてある。未生は本当に僕の娘なのかな・・・
読み終えた後も未生の事と杉田さんへのアプローチをどうするか気になって
寝付けない夜だった。
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