第6話
「あの硬い地面をこさえたり、タヌキを溶かしたり、タカより高いところから眺めて調和に努めたりと、それは神サマの使いか?」
カエルもニンゲンのことを語っているうちに、なんだか自分も偉くなったような心持がしてきました。
「へへへ、それだけじゃあないんだよヘビさん。ニンゲンは木を使ったり、石を使ったりして頑丈な巣を建てたり、我々を食べるキツネを食わずに毛皮だけ剥いででしまったりして、寒さを凌ぐものに仕立てたりするのさ!」
すると、食わずして毛皮にするという言葉にヘビが蘇らせることがあったようで鎌首をあっちにかしげます。
「食わずして殺す生き物・・・。つながったぞ!ニンゲンとはわたしの知るヒトとかいうものの方言だな。同胞なんぞはきゃつらが命のように後生大事にする貨幣などというものを入れる袋や、音が鳴る楽器とかいうものに化けてしもうたわ!そんなものを・・・」
ヘビは怒りで目を真っ白にしてわなわなと震え上がります。
その貌をみたカエルはこの風向きを返ることはもはや叶わないと思い、氷が溶けた手足が地面から離れるのをそおっと確認すると、そろりと草むらに飛び込もうと背を向けようとします、しかし
「油断ならん恐ろしいやつめ、ニンゲン。危ない、危ない。そして、それを持ち上げるカエルめ逃さんぞ、エイっ!」
「あ、まっ…」
待てと言う間もなくカエルはヘビに飲まれてしまいました。
ヘビは飲んだカエルが喉元を通りすぎたところで、
「きさまの甘言に惑わされて、ヘビとしてのほんぶんを忘れるところであったわ。危ない、危ない」
と、深くため息をつきました。しかし、まもなくして、腹の奥のほうまでボコリと膨らんだ凸が移動すると、
「ぐぅ、苦しい!これは毒だ。このカエルは毒ガエルだ。あいつの言うことは本当のことだった。ああ、でももうだめだ、カエルよ堪忍」
そういうとヘビは泡を吹いてバタリと死んでしまいました。
「信じては貰えなかったか。あとさきを考えずに飛び出してしまったことと、ニンゲンを担ぎ出したのが、そもそもの間違いだった。しかし、もうこうなっては助からない、仕方がない、さようなら」
カエルもヘビの分厚い体から出れずに苦しんで死んでしまいました。
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