第3話

「しめしめ。カエルめ。さては手足が貼り付いて動けないな?」


どうやらヘビも冬支度に遅れ、痩せた体であくせくと方々を這いずり回っていたところのようです。


ヘビはカエルを睨み、サァいざ飲み込まんと口をかぱりと開けてにじり寄りました。


「ひえ」


自分がこれから収まる真っ赤な口を覗いてカエルはすっかり痺れてしまい、めいうんも尽きたと悟りましたが、動く口を使って最後に命乞いをしました。


「まってくだせえ!あなたさまのためにも、いましばらく!」


かぱりと大口を開けたヘビは飲みこんでやろうと決心していましたが、カエルが言った『あなたさまのため』、と言う言葉がどうにも気になり、噛みつくのを止めました。


「どういう意味だ?」


ヘビがそのこころを問います。


「あたくしは毒をもっております。飲めばたちまち肚をひっくり返して死んでしまいます。ですので、飲むことはやめてくだせえ」


「ふん、にわかに信じがたい」


いままで色んな生き物を飲んできたヘビは、毒になどやられたことが無かったので、カエルの言うことを戯れ言だと鼻で笑いました。


しかし、カエルは続けて言います。

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