第2話
カチカチに凍ったアスファルトに向けて、冬支度に遅れたカエルがぴょんと飛び出しました。すると、着地したところは乾いた氷になっていてカエルの湿った手足をたちまちジュウと凍らせて焼き付けてしまいます。
「いけねえ!あとさきを考えずに飛び出しちまった」
カエルは参ったと、あたまを搔こうとしましたが、地面にすっかり貼り付いた手足が離れることはありません。無理にでも引き剥がそうとすれば皮膚ごと地面に残してしまいそうです。
結実の役目を終え、生きる執着をすっかり失せてしまった一年草たちを必死に掻き分け、巣へ戻ろうと行き急いだ矢先の出来事でした。
「ウウム」
どうしたものかと困り果てたカエルは、唯一満足にうごくこうべをあげてみると、西の空から、真っさらな水に墨汁を滲ませたような漆黒の雲がもくもくとこちらへ流れてくるのが見えました。よく効く鼻をかっぴらいてスンスンと嗅いでみると、どうやら湿り気を帯びた空気を運んできたようです。
「しめた。これは一雨きそうだぞ」
地面が雨で塗りつぶされれば、貼り付いた手足も離れると読んだカエルはじっとして、待ちました。待つあいだ、ニンゲンが使う乗り物とかいうものが上を通って潰されませんよう、喉を精いっぱいぐぅぐぅと鳴らしながら、何度も空へ祈りました。
何とかその願いは叶い、いよいよ小雨が降り始めて、これで巣穴を拝めそうだと一息ついたころ、運悪く今度は正面からヘビがやってきてしまいました。
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