カエルとヘビの事

居留守五段

第1話

その年の晩秋は、ぬるま湯のような陽気が居座り続けておりました。


山に棲む動物たちもそれに似て、


「北風サマが風袋の口紐を縛りすぎて、其れをほどくのに体を暑くされてるんだろうね、きっと」


「ウン、きっとそうだ。いっそのこと、いっぺんくらい春まで汗をかいてくださらないかな」


と、どこか呑気で間延びしたような心地にありました。


ところが、言葉に吐くと願いの表裏が返ることはあるもので、あくびした背中を刺すようにして、つと凍てつく風がゴウゴウと転がり込んできました。


それに肝を潰した動物たちは「冬がきたぞ!」と慌てて方々に退散しました。


そんなある夜のこと_

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