GAME 9 ( ゲームキュウ )  6

――10年前(40歳のとき、季節は初冬)


その日、乗客乗員500名を乗せた飛行機が離陸した。

空港のカメラには、その離陸時の映像が記録されているが、残念ながら、その機を見たのは、それが最後だった。


離陸後、しばらくして、機内では奇妙なアナウンスが流れていた。


「機長より乗客のみなさまへお伝えします。当機は到着予定時刻よりも早く目的地に到着することになりそうです。なぜなら目的地を変更したからです。目的地の名前は、死の世界です。今から10000メートル下にある海面に激突して木端微塵に砕け散ろうと思います。苦しすぎた人生とようやくお別れができます。あっ、そうそう、あなたたちは、ただの道連れです。飛行機なんか、ある程度、良い人生を送っていないと乗る機会なんてないしね。恋する男女のみなさま、家族連れのみなさま、出張帰りの大手企業のみなさま、新幹線が開通したことで航空便が廃止されるのを恐れて公務員は全員飛行機移動が必須となっているクソ自治体所属の公務員のみなさま、暴れてください、泣いてください、叫んでください、怒ってください、まもなく死んでもらいます。残りの時間はわずかです。さぁ、人間の本性をさらけ出しなさい。家族と最後の思い出作りに励むのもよし、美女を心ゆくまでレイプするのもよし、私を殺しに来るのもよし、悔いが残らないようにせいぜい頑張ってね。」


機内は騒然としていた。

いったい何を言っているのか?

何の冗談か?

複雑な表情を浮かべる乗客でいっぱいだった。

だが……、次の瞬間、それが事実であることを思い知る。

飛行機が、まるでジェットコースターに乗っているかのように傾き始めた。

垂直落下である。


「キャアアアアアアアア。」


悲鳴が上がった。


「機長より、最後のメッセージです。まもなく死の世界へ到着します。ベルトは締めなくていいですよ、どうせ死ぬんですから……。着陸ではなく、木端微塵になるんです。死体すら残りません。消滅するのです。振り返れば、私の人生は苦しみしかなかった……。地獄だった。存在価値を感じることすらできなかった。機長として最初のフライトで、みなさんとご一緒できることを光栄に思います。日本人は自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったこっちゃない民族です。恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた被害妄想者と、不幸の背比べをして意地でも勝とうとしたがるクソガキしかいません。日本人は、全員が、自分が日本で一番不幸な人生を送っていると思い込んで生きています。全員が、不幸を装って他人から同情を得ようとしてきます。でもね、下には下がいるんだよ!恵まれた環境でヌクヌクと生きてきたゴミどもよ、下には下がいるんだよ!お前らより不幸な人間なんて、世の中、いくらでもいるんだよ!私を差し置いて、偉そうに苦労人を演じているじゃねえよ。私もお前らと同じ、日本人なんだよ。同じ日本人なら、みんなが同じように裕福で幸せに生まれ育っているという勝手な設定は何なんだよ!私は好きで無能に生まれたんじゃない。好きであんな環境で育ったんじゃない。同じ才能と環境で生まれ育っていない人間が、あたかも、同じ才能と環境で生まれた育ったかのように設定された挙げ句、できないのは、努力不足、我慢不足、行動不足……と一方的に罵ることしか知らないゴミ日本人ども!人の一生は生まれた瞬間に全てが決まるということを教えてあげますね。私は大好きだった兄を小学生のときに亡くしている。今から、兄に会いに行くんだ。いつも日本人は、所詮、他人事……、他人事……で、私のような人間を無視してきた……。今回は、みなさんが当事者ですよ。念願の当事者ですよ。ホラ、どうした?誰か助けて!って叫んでみろよ!お前らが今までしてきたことを逆にやられてみろよ!その、誰かっていうのがこの日本には一人もいないっというのがわかるぞ。苦しみを黙っていることが美徳だと思い込んでいるクソ日本人ども、死を目前にしても黙っていられるかなぁ?おそらく、無理だろうな。私が無理だったから……。私は弱い人間じゃない。許容範囲を超える負荷がかかっただけだ!弱い人間扱いするな!クソ日本人ども!最後に、私が味わった苦しみがどれほどのものだったか……を、少しでも知ってから死ね。激突までの数分間、お前たちゴミ日本人へ向けて、私から死の呪文を唱えてあげますね。いきますよ。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねええええええ、終わりだぁぁぁぁぁ、ざまぁぁぁみろぉぉぉぉぉ。」


ボイスレコーダーの記録は、ここで途切れていた。


飛行機事故は、何もかもを跡形もなく消してしまう。

北緯、42度、東経、157度……。

墜落現場は、この辺りと思われる。

日本からかなり近い海域である。

現在までに、CVR以外、機体の残骸は何一つ見つかっていない。

乗客乗員は全員行方不明、飛行機に載せられていた荷物すら何一つ見つかっていないという。


私は、この飛行機事故を病院の待合室に置いてあった新聞で読んだ。

機長の名前は、石黒亮一、年齢は38、出身地は私と同じ、愛知県の日進市だった。

まさかの道連れ自殺に、ネットの書き込み欄は連日沸騰していた。

行方不明者のリストが紙面に載り、テレビでも氏名、住所のある市町村名が公表されていた。


その中に一人、気になる名前を見つけた。

虹村沙由希(46)、石川県金沢市という記載だ。

もちろん、私の知っている人物ではなく、その人と同姓同名の可能性はある。

だけど、何と言ったらいいのだろう、直感で、その人なのではないか……と思えてならない。

そんなにありふれた名前ではないし……。

もし、その人だったら、どうしよう……。


出会いはマッチングアプリだった。

私は、命を懸けて出会いを探していた。

ネットがこの世に登場したのが、90年代半ば、当初、マッチングアプリは男女無料だった。

2000年代に入ると、男女ともに有料に変わった。

2010年代以降は、男性だけが有料で、女性は無料に変わった。

一番出会いの確率が高いのが、2000年代の方式、次が90年代方式、残念ながら、現在の方式では、たとえ私が若かったとしても難しかっただろう。


私の世代は、生きるために出会いを探す人がいない。

自分や家族にとって都合の良い使用人(奴隷)しか探さない。

なぜなら、男も女も、すでに親(家族)と結婚しているからだ。

だから、相手を探さないし、相手なんていようがいまいが関係ないし、困らない。

これは精神的にも経済的にも……、という意味だ。

精神的支柱は家族であり、相手ではない。

優先順位をつけると、1番は親、2番は祖父母、3番は兄弟姉妹で、相手は4番目以降である。

相手がいようがいまいが、精神的には何の影響もない。

経済的な理由としては、私の世代の親は、万人中流階級と呼ばれた世代なので、大半が、とても裕福である。

カネもあるし、家や土地もあるので、親子関係が破綻していない限り、いずれ、それを相続すれば食いはぐれることがないのである。

もう、その時点で相手のいない人生プランが描けてしまうのである。

つまり、小学生になった頃には、前の世代までは存在した「将来、結婚しなければならない」という強迫観念が頭から消えている。

私の世代で、結婚しない人が激増したのは、女性の社会進出や女性の学歴向上・年収向上が理由ではない。

そんなのは、一切、関係無い!

理由は、女性が嫁ぐのをやめて親と結婚するようになったからである。

(親と結婚というのは、同居だけでなく、関係性を保った一人暮らし・別居も含む)

ちなみに男性は、戦前から親と結婚していて、それは今も変わっていない。

だから、私のような人間関係ゼロの天涯孤独でない限り、「生きる」ために、命を懸けて相手を探すなんてことはしないのである。


よく男が、「年収が少ないから結婚できない」「貯金が無いから結婚できない」などと抜かしているけど、全く関係ない。

カネさえあれば結婚できると思っている時点でゴミだ。

経済的に困っておらず、出会いを探していない女しかいないのに、カネの話なんかしても無意味だ。

カネさえあれば……というのは、男としての勝手な自尊心の問題であって相手は関係ない。

その話だけで相手を見つけようとするならば、億単位を持ってないとムリ。

他方、女性も、「男性が終身雇用で働き、女性が相手の家庭に入る」という概念が無い今の時代に、「年収はいくら?」と当たりまえのように聞いてくるゴミしかおらず、うんざりする。

親と結婚していて、精神的にも経済的にも困っていない女が相手の年収なんか聞いてどうする?

こういうことを言う女は、経験上、信じられないレベルのクソゴミしかおらず、絶対に関わってはいけない。


結局、今の時代、男女ともにカネの話をする奴はゴミしかいない。

こいつらは「カネがないと生活できない」とほざくけど、生まれ育った環境を底辺に設定し、それと同等、または、それ以上の生活水準を勝手に求めているだけである。

牢屋に入る前、路上生活を経験した私からしたら、生活なんかいくらでもできる。

私の世代からは、時代が困窮に向かっているので、私の子供時代と同等、または、それ以上を求めるのは、そもそも不可能なのである。

私と同学年は、給料が一番高かったのが、新入社員の年(90年代前半~半ば)である。

それ以降は、横ばいか、下がっているかのどちらかしかない。

そもそも出会いの動機はカネではない。

路上生活時代に女性の姿を見ていない時点で、カネ(生活するためのカネ)なんか関係ないことくらい実感としてわかる。


私は、10代から40代まで、約30年間、命を懸けて出会いを探した。

命を懸けるというくらいだから、顔を整形してモデルをやったり、性格を薬で整形して違う自分に成りきる、というのは序の口だった。

恋活・婚活を含め、延べ2000人以上の女性とやりとりをした。

会ったのは何十人だが、3時間以上、会話が続いた人はいなかった。

送ってきた人生があまりにも違いすぎて、会話が成立しない。

人間関係も3~4週間しか続かない。

何もかもがどうにもならなかった。

日本中を30年も探したけど、出会いを探してる女性は一人もいなかった。

全員がその状態(親と結婚していて、そもそも出会いを探していない前提)で、自分や家族にとって都合の良い使用人(奴隷)しか探していなかった。

家族観の無い天涯孤独の私は、駆け落ち以外は無理なので、最初から論外だった。

私と同年代以降は、恵まれた環境でヌクヌクと生きてきただけの被害妄想ゴミ女しかいない。

しかも、そういう場に顔を出す男女比率は、年齢によって違うが、私の感覚では平均で男50に対し女性1……。

見つかるわけがない。

生きた時代が前に30年ズレていたら、私の場合は、どうにでもなったと思っている。


出会いに関しては、男女で、天と地ほど違う。

男が「出会えない」というのは、本当に出会えない。

女で「出会えない」と文句を言っている奴は、そもそも出会いなんか探していない。

自分や家族にとって都合の良い使用人(奴隷)が見つからないだけ……。

相手の人生なんか、初めから全く興味がない。

男女差は凄まじく、男は20代まで……、それを過ぎたらもう絶対に見つからない。

女は50代後半まで余裕で見つかる……、本気で探しているならね。

その年齢でも、ブ男ではなくて、普通の人と出会える。

私の経験では、男性は20代前半までに何とかしないと、もう求めている人は見つからない……、20代後半までいってしまうと厳しくなる。

私は命を懸けてやったので、多少長くまで会えたけど、結局、恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた(親と結婚している)被害妄想ゴミ女以外は一人もいなかった。


仮に、こういうゴミ女と結婚すると、子供ができた瞬間に捨てられる。

親と結婚しているから、子供はほしくても、相手はいらないのである。

だから、「シンママ」がブランド化して、みんな「シンママ」になりたがるのである。

親と結婚していて、ただ楽に生きてきただけのゴミなのに、「女手一つで子育て」という言葉とともに、世間一般から「苦労をして生きている」と認識され、承認欲求まで満たされるのだから、まさに一石二鳥で、被害妄想ゴミ女が大半を占めるこの国では、その流れは加速度的に進んでいくだろう。

「子供のために……」と言いつつ、結局は、自分のことしか考えていない。

こいつらは、結婚相手である親が死んだら、今度は自分の子供と結婚して、こなきジジイのように死ぬまで纏わりつくのだろう。

子供も相手と同じで、自分が生きるための道具でしかない。


「幸せ」という言葉は新たに手に入れるものではなく、その家に生まれ育つという運でのみ得られるもので、生まれた瞬間にあるか・ないか、だけである。

私は家族崩壊したので家族観が無い。

家族主義国家日本では、これは致命傷だった。

この話は他人には伝わりづらいが、(家族観が無い)天涯孤独になると、自分の武器は、持って生まれた才能のみになってしまう。

仕事と私生活、双方において、競争に勝ち抜けるだけのそれが無い場合、詰んでしまう。

仕事は、自分の才能だけを頼りにして出たトコ勝負を繰り返すしかないし、私生活は、駆け落ち前提の恋愛はできても結婚前提の恋愛はできないので、出会い以前の問題として門前払いされてしまう。

「家」と「家」が結婚するという概念が私には無いし、それに対して、受け入れられないレベルの抵抗がある。

親と結婚している被害妄想ゴミ女しかいないこの国で、私のような人生では、相手を見つけるのは最初から不可能だったということだ。

30年やって、わかったのはそれだけ……。


出会いは、被害妄想ゴミ女を受け入れることができるか・できないかだけである。

それができるのは、そういう女性と同様、恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた人たちだけである。

被害妄想ゴミ女とは、わかりやすく言うと、「私の話(被害妄想話)を聞いてほしい、私の言うことに従ってほしい、私を好きになってほしい、私を愛してほしい、私を支えてほしい、私を理解してほしい、私を育ててくれた私の家族を大切にしてほしい……、その代わり、私はあなたの人生には全く興味がありません。何か負担を負わされるのは、まっぴらごめんです」という女を指し、この国で出会えるか・出会えないかは、これを受け入れることができるか・できないかだけである。


出会いを30年やって痛烈に感じたのは、とにかく、自分や家族にとって都合の良い使用人(奴隷)しか探さないし、相手の人生には全く興味がない!

会話も自分の話しかしないので続かない。

命を懸けて探した私ですら最後は疲れ果てて、探すのをやめても苦痛じゃなくなってしまうレベル……。

そのかわり「1回きりの人生を棒に振った」という絶望は残ったけどね。


ただ、そんな数十年のマッチングアプリ人生の中で、たった一回だけ、本気で好きと思える女性とめぐり会った。

その人との出会いは、この年の一年前、39歳のときの初夏だった。

名前は、サユキと言う。

一回だけ、顔見せ、みたいな感じで会った。

六つ年上で、超がつくほどの美人だった。年齢よりも全然若くて、スタイルも良くて色気もあった。

年齢を考えたら全く期待していなかったのに……。

なんで、こんな美人がこんな所で出会いを探しているの?いくらでも出会えるだろ!って感じだった。

出会い系で広告塔をやっている悪徳業者の手先かな?とも思えた。

私は一度もデートできず、セックスできずに、人生を終えたくなかった。

残念ながら、根暗・無口・真面目・臆病・気弱……な私では、カネを払って大人の店に行く思考が無かった。多分、やれ!と言われてもできないだろう。

だから、年齢を考えると、これがラストチャンスになると思った。


それ以来、一度も会わずに、一年以上、メールだけのやりとりが続いた。

彼女から、メールだけの関係性でいたいという強い要望があったからだ。

もちろん、男女比率は凄まじいので、いつ切られるか……という不安は常に抱えていた。

私は1対1だが、おそらく彼女は30対1の比率だったかと思う。もし、彼女が写真を載せていたら500対1になっていたと思う。

このまま、ただやりとりを続けていては、いつか誰かに取られてしまう。

焦りと不安から、あの会社をクビになる少し前くらいに「あなたのことが好きです。できれば付き合いたいです」とメールで告白をした。

そうしたら、「私、結婚しているけどいい?」と返信された。

流れ的に、嫌という選択はできず、「いいよ」と言った。

まぁ、冷静に考えたら、そうだろうな……と思った。

何度も言うけど、私の世代からは被害妄想ゴミ女しかいないので、普通の人と出会おうと思ったら、必然的に既婚女性になる。

既婚者ということで、私から連絡してはダメ、会いに行ってはダメというのが前提だった。

どこに住んでいる?って聞いたら、GPS機能で調べて!と言われたので、その機能で調べたら住所がわかった。

一軒家だった。

私はアパート暮らしなので口頭で住所を教えた。

旦那の家に嫁いだ人らしいんだけど、よほど離婚したいのか知らないけど、かなり自暴自棄になっている感じだった。でなければ、見ず知らずの男に自分の住所なんか教えないだろう。

まぁ、そういう事情でもなければ、こんな美人とは出会えないわな……。

たまたま、そういうタイミングで出会えたということだ。


当初は、いつ切られてもダメージを受けないように距離を取って話していたんだけど、だんだん抑えが効かなくなった。

とは言っても、一度も付き合ったことがない私は何をどうしたらいいのか全くわからない。

それと同時に、切られたらどうしようという不安も日増しに深まっていった。


互いに誕生日が夏だったので、今度、花火を見に行こうという約束をした。

それが私の人生、最初のデートになる予定だった。


残念ながら……、その日は、突然、やってきた。

返信が来なくなったのだ。

しかも、返信が来なくなったのは、あの飛行機事故の日からだ。


嘘だと言ってくれ!


マッチングアプリでの音信不通は別に珍しいことではない。

むしろ、当たり前のことである。

男女比率が凄まじいほどに違うので、切られるのは99パーセント男性側である。

しかも、男性が有料で女性は無料なので、男性側は多少合わないと思っても、切られるまで引っ張ってしまうのである。

男性は、毎月、かなりの金額を払っているので早く見つけて退会したいのだが、女性は無料をいいことに男性をゴミみたいに扱うので、結局、見つからない。

ただ、音信不通になる直前には、毎回、その前兆のようなものを文面から感じ取ることができる。

こういう文化に慣れてしまうと、文章だけで相手との距離感がわかってしまう。

もともと私の同年代以降は、親と結婚している被害妄想ゴミ女しかいない。その状況で男女比率があまりにも凄まじいから、それに加算される形で、ワガママ王女様みたいなゴミ女ばかりが蔓延り、男性側は怒りと憎しみと自己嫌悪で精神が壊されていく。

「男性のみなさん、私の都合に合わせて私を追いかけて!最後に残った一人が私と付き合えるチャンスがありますよ!」みたいな……。

私はそういうアホな競争には参加しないので、長くやりとりが続く人はゼロである。

だから、一年もやりとりが続いたのは奇跡としか言いようがなかった。

それに途切れる前兆が全く無かった。


もし、飛行機事故の被害者なら、私は切られていない可能性の方が高い。

さすがに大きなショックだった。

立ち上がることができなくなるほどにね。


こんな終わり方、私には耐えられない……。

生涯、たった一度の出会いで、神様からの贈り物だったかもしれないのに……。


その日、メールボックスの迷惑フォルダに1通のメールが届いていた。

ゲームソフト「GAME 9」からのお知らせです。

「ジクウヲコエテ」が実行されました。GAME4クリアです。おめでとうございます。今回も早かったですね。ゲーム指定がありませんので、GAME5を開始します。

頑張ってください。

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