GAME 9 ( ゲームキュウ ) 2
※カクヨム毎日更新キャンペーン(2024/08/09~08/31)に参加するために、ほぼ無計画で殴り書きをしたので、誤字・脱字、文章・文脈がめちゃくちゃな所がたくさんあり、現在、修正をしております。しばらくお待ちください。
――10年前(40歳のとき、季節は初夏)
私は絶望の淵にいた。
彼女を1人も作れないまま40歳を過ぎた。たった1日のデートすらしたことがない。
正確に言うと、成立したことがない。
3時間以上、誰かと一緒にいられたことがない。
もちろん、セックス経験もない。
根暗・無口・真面目・臆病・対人恐怖の性格が災いして、人間関係は男女問わず、どうにもならなかった。
要するに、私は無能な人間だったということを証明したに過ぎなかった。
18歳で家出をして、それ以来、故郷とは違う街で暮らしていた。
当初は生きるために必死だった。
職を転々としたあと、25歳から35歳までは、ある会社で正社員として働いていた。
人間関係が全くできない自分を変えるために、あえて接客業を選んだ。
なんだかんだで10年は働いた。
だけど、自分を変えることはできなかった。
私は決めていた。
彼女が1度も作れないまま35歳を過ぎたら仕事を辞めると……。
そして、人生を捨てると……。
結局、できなかったので人生を捨てた。
彼女が1度も作れない人生なんて、いらない。
独りで生きた人間が、命を懸けて求めたのが、それだったからね。
誰かがいないと生きていけない……。
家族主義国家日本では、家族崩壊したら人生が終わるという定説を覆したかったけど、残念ながら、軍門に下った。
その時点で、生きる意味・気力・目的・希望が無くなった。
働く意味なんか無い。
売上が上がろうが下がろうが、出世しようがしまいが、クビになろうが、もうどうでもいい。
人が目の前で殺されようが犯されようが知ったこっちゃない。
核戦争が起きようが、地球が滅びようが、もうどうでもいい。
完全に自暴自棄になった。
一度転落すると、人間は止まらない。
私は貯金がなくなるまで部屋に引きこもることにした。貯金が底をついたら、死ぬことにした。
自殺なんて、そんな勇気はないと思っていたけど、この世で独りになって、生きる意味・気力・目的・希望がなくなると案外簡単なものだ。
それくらい何も無い人生を生きることはしんどい。
掃除、洗濯、料理は一切せず、コンビニ弁当を食い散らかす日々が続き、いつしか部はゴミ屋敷へと変貌を遂げていた。
そんな日々を送っていたある日のこと……、一個の小包が届いた。
送り主は、「5年1組同窓会会長、久野大介」
正直、驚いた。
なぜ、私の住所を知っている奴がいる?
家出して以来、故郷における全ての人間関係は断ち切れている。
今の私の住所を知っている人間なんかいるはずがない……。
なぜだ?何かのネット犯罪に巻き込まれたか?と、いろいろ考えた。
でも、よくよく考えたら、何年か前に同窓会サイトに登録したのを忘れていただけだった。
住所登録は任意であったが、私は特に考えもせず登録していたのだろう。
久野は当時の学級委員で、小学校を卒業してから1度も会っていないし、話してもいない。
しかも、その当時ですら、まともに会話をしたことは無い。ほぼ「初めまして……」の状態だった。
同窓会サイトには、ただ登録しただけで誰ともメールをしていない。
では、なぜ、宅配便が届いたのだろうか?
小包を開けてみた。
1通の手紙と、パソコンのゲームソフトが入っていた。
早速、手紙を読んでみる。
すると、いろいろなことがわかった。
約1ヶ月前に小学生のときの同窓会が行われたという。
そのとき小学校で30年前に埋めたタイムカプセルをみんなで掘り起こし、それぞれがそれぞれの埋めたアイテムを持ち帰ったという。
そのとき余ったアイテムが、当日、一人だけ出席しなかった私のものだと勝手に判断されて、久野が手紙とともに送りつけてきた。
だが、明らかに私のものではない。
30年も前の話なのではっきりとは覚えていないが、このパソコンのゲームソフトは
絶対に自分のものではない。
なぜならパソコンを持っていなかったからだ。
それに1980年代の話、当時のパソコンは簡単なデータ処理ができるくらいで、ワープロに毛が生えたような機能しかなかったはず……。
それに、あの監禁部屋でゲームをするなど、私には考えられない。
パソコンゲームは当時からあったと思うけど、持っている人なんか、学年で一人か二人の世界だった気がする。
ゲームのタイトルは「GAME 9」 ( ゲームキュウ ) だ。
聞いたこともない。
いったいどんなゲームなんだろうか?
パッケージを見ただけでは、よくわからない。
怖いもの見たさにゲームをパソコンに入れて起動させてみた。
果たして、30年前のゲームが今のパソコンで動くだろうか?
CD‐ROMという言葉すら存在していない頃のCD‐ROMって……。
しばらくするとゲームのオープニング画面が表示された。
なんと、こんな昔のゲームにもかかわらず、起動した。
不気味な音楽が流れたあと、突然、警告画面が現れた。そこにはこう書かれてあった。
「警告。GAME9(ゲームキュウ)が起動しました。現在、あなたをスキャンしています。スキャンが終了次第、ゲームを開始します。」
はぁ?
意味がわからなかった。
いったい何なのだろうか?
こんな訳がわからない画面が30分間も表示されたあと、突然、次の画面に切り替わった。
「スキャンが終了しました。『GAME9(ゲームキュウ)』へようこそ!随分、久しぶりのログインですね。ただ、人が入れ替わっていますね。人が入れ替わった場合、ペナルティとして、クリアゲームのうち3ゲームが無効になります。その結果、スピリチュアルスキルが減り、ゲームを実行する際の精神消費が増えます。人間は、知能・体力・精神で成り立っています。バランスを欠かないことをお薦めします。どれか一つの項目の値が0になると、その時点で消滅しますので注意してください。現在、ログインしているドメインは『精神』です。ドメイン変更を希望する場合、9つあるゲームのうち、最低でも4つはクリアしていなければなりません。すでに無効になったゲームも含めて、コンプリートするには、あと8つのゲームクリアが必要です。各ドメインにおいて、9つあるゲームを全てクリアすればドメインマスターになれます。その称号を得た時点でゲームクリアとなります。」
は?
言っている意味がわからない。
今、初めてゲームソフトを起動したばかりなのに……。
「現在ログインしているドメインは以下の通りです。GAME1からGAME9まであります。別にGAME1から順番にゲームを選択する必要はありません。いきなりGAME9から始めてもらっても構いません。あまり、お薦めはしませんが……。指定がなければ、数字順にゲームは進行します。標準精神消費とは、スピリチュアルスキルが標準値における消費数を指します。人間世界に置き換えると、それは寿命からその数値が引かれるという意味です。」
ドメイン名「精神」、現在はGAME2まで降格されています。
GAME1「オモイデピエロ」……(標準精神消費1)あなたの中に眠る記憶を鮮明にします。
GAME2「スイマノヒジュツ」……(標準精神消費2)あなたの選んだ人物を好きなときに眠らせます。
GAME3「ジャクニクキョウショク」……(標準精神消費3)あなたの選んだ人物を弱肉強食の世界へと誘います。
GAME4「ジクウヲコエテ」……(標準精神消費4)あなたの選んだ人物を誰かの自死行為と連動させます。
GAME5「ヌーラノ・アプラジャンスカ」……(標準精神消費5)都市国家ヌヌララの物語を上映します。
GAME6「ゴッドアイ」……(標準精神消費10)あなたの望んたときに、あなたの全身を30日間透明にします。
GAME7「ラクエンノドア」……(標準精神消費50)幻の大地に存在するという、都市国家ヌヌララへのトビラが開かれる。
GAME8「ネガイヲカナエテ」……(標準精神消費0)あなたの中に眠る願い事を、本当に叶えます。
GAME9「エイエンノイノチ」……(標準精神消費0)都市国家ヌヌララに存在するという伝説の水を飲むと、不老不死になる。
まるで、意味がわからない。
なにせ30年以上も前のゲームだから、どうしようもない欠陥品なのかもしれない。
とりあえず、いろいろと試しているけど……。
そもそも……。
カーソルをどこに合わせてもクリックできない。
何をどうしたらいいの?
次の画面に進むにはどうしたらいいの?
なんなの、これ?
「最後に、注意事項として、ゲームは自由に譲渡できますが、売買は不可ですので気をつけてください。持分会社の持分ではなく、株式会社の株式と同じです。あと、スキャンによって自動登録されますので、スキャンが終わっていない場合は、これも株式の名義書換と同様、譲渡人の方に効力が及びますので、注意してください。それでは、良い人生を……、良い旅路を……。」
こんなメッセージ画面が流れたあと、突然、シャットダウンした。
私は、ただ呆然とするだけだった。
「なんだ、このゲーム。いくら30年前のゲームでも、これはないだろ。どうしようもねえわ。こんな詐欺ゲームソフト、タダでもいらねえ。」
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