第2話 消滅

「うっ、うーん、」

唸りながら、藤原淳は目をさました。

夜飯を食べたあと、直ぐに寝てしまった。

「あ、夜飯の片付け....」

気づくともう遅かった。カレーが茶碗にへりついていた。

「あっ...遅かったか.....」

痛恨のミスだ。もし寝ていなかったら.....

そう思うと胸が痛い。そして、茶碗がかわいそう。

ジャー

「これでよしと。」

淳は、片付けをおわした。

寝ぼけたままテレビを付ける。すると、眠気が吹っ飛ぶほど、驚くニュースを見てしまった。


[臨時ニュースが入ってまいりました。臨時ニュースが入ってまいりました。○○県登坂市に、隕石が落下した模様です。近隣住民の皆さんは....]


そのとたん、気を失いそうだった。僕の両親が住んでるのは登坂市街地、

さらに僕のいとこ、つまり島貫 文が住んでるのも登坂市なのだ。

僕は登坂市で生まれ、登坂市で育った、登坂市出身なのだ。

中学二年生の時、こっちへ引っ越してきた。

知り合い、友達、近所のおばさん....様々な人が僕を支えてくれた。

登坂市に隕石が直撃....

そう思うと、涙が出てきそうだ。


[えー、今入っている情報です。隕石より、推定2000人の死亡が確認されております。隕石が落ちたのは登坂公園前.....]


僕の両親が住んでるところは、登坂公園前地域だった。


涙が、洗った皿の上に一滴落ちた。



~翌朝


ピピピピピピピピピピピピ....

「っ。」

直ぐに目覚まし時計を止めて、テレビを付けた。


[えー、昨夜起きた登坂隕石衝突事故についての新しい情報です。死亡が確認されているのは推定9000人ほどで....]

登坂市の人口はおおよそ1万ちょっとでこの情報だと、ほぼ全滅だった。

ほかのチャンネルでも、同じニュースだった。テロップが画面上に書かれてある。

[危険ですので、登坂市周辺には近づかないよう、お願いします。]


そうして何日か経った日、両親、小学校の時お世話になった先生方、いとこ...様々な葬式に参加した。


そして、当然だか、泣いた。

葬式で、家で、道端で....

いろんな人のことを思うと、泣いてまったのだ。


でも、亡くなった人も皆


心の中で生きている





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

月が綺麗な夜に あんにんどうふ @sakumakup

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ