月が綺麗な夜に

あんにんどうふ

第1話 今夜

ピピピピピピピピピピピピ

目覚まし時計の音がうるさい。どうやらもう6時半のようだ。

ピピピピピヒ......

スヌーズを押してまた目を閉じる。ああ、これでまたゆっくり寝れる.....

後30分も有れば眠気も覚めるだろう......

「むにぁむにぁ....zzzz」

バタン!

ドアを開ける音がした。

「うぇぇ?!」

私は思わずベットを飛び出した。

「早く起きろ!学校遅れるけん!」

妹だ....何でこんな時に限って私の部屋に.....

そう心で思いながら、重い体を起こした。

「はいはぁい。今おきました。」

すると、妹は大声で叫んだ。

「はよご飯食って学校行きな!」

バン!

そう言って妹がドアを閉める。

「なんだろ。今日は機嫌悪いの?」

思わず声を漏らした。


私の名前は島貫文(しまぬき あや)。登坂高校に通う高校2年生。

そしてさっき私の部屋にきたのは妹の島貫真美(しまぬきまみ)。

結構大人っぽい名前だけど、登坂小学校に通う小学4年生。

意外とツンデレで可愛いと思ってる。

「お姉ちゃん!はよご飯!」

「分かっとるすけ!今行く!」

そしていつも喋り方がなまってる。私もだけどね。

「あれ?お母さんとお父さんは?」

「全く...お姉ちゃんってほんっと忘れんぼうやなぁー...」

「え?なになに?何処に行ったん?」

「昨日から夜勤で帰って来てないやろ!」

そして意外と怖い。

「ああ、そうやったか。」

「だから、私がお姉ちゃんの事、起こしに行ったんや!」

「はぁ....」

「はよ!ご飯」

はあ。今日も1日、波乱万丈になりそうやぁ.....



キーンコーンカーンコーン

「おはよー!」

「おう、文。今日いつもより来るのおせぇな。」

「何かあったん?」

この二人は小野塚康生おのづか こうせい丸山美浪まるやま みなみ

小野塚は男子のなかでもトップクラスで強い。柔道部に所属しており、......部長。。

ミナミは憧れる。テストの合計489点、吹奏楽部所属。

ミナミも....部長。。

ちなみに私はテニス部所属で...副部長。

私も部長みたいに部活を動かしてみたいなぁーと思う。

部活で一番楽しいのは、部長が休んだときかな。

私が代わりの部長になれるから。


「それよりよぉ、文!」

小野塚が野太い声で文に話しかけた。

「ん?どうしたん?」

「今夜、皆既月食かいきげっしょく見れるらしい!登坂公園で!」

「うぇ?皆既月食?」

「まさか文、知らんかった?今日皆既月食って」

「う、うん」汗

てか、勉強のし過ぎでニュースとか見てないんですけど...

あと3週間後に定期テストだし。

でも知らなかったことは恥ずかしい....

「んでよぉ、今日の夜、一緒に見に行こうぜ!皆既月食!」

「遠慮しないで!いこ?」

小野塚はともあれ...ミナミがそう言うのであれば...

「うん!一緒に行こ。」

キーンコーンカーンコーン

今日は部活が無い定時退校日なので、ソッコー家に帰る。

「うーん、今日夜7時公園に集合...か。」

スマホをいじりながら独り言で喋っていると

「何独りで喋っとん?」

妹がきた。

「今夜、皆既月食やって。んで、友達と見に行くの。」

「ああ、前から知っとったわ。皆既月食。」

どや顔で私を見つめる。この顔がウザい。

「親には電話しとったから、あとお前だけで留守番してられる?」

「それぐらい出来るけん!小4をナメて貰うとこまるわ!」

「ハイハイ。お母さんは7時半にかえくると思うから。」

「分かっとる。車にひかれんようになぁー。」

真美はそう言ってドアを閉めた。



「行ってきまぁーす!」

「行ってらっしゃい。」

妹の小さな声が聞こえた。

それを確認して、文は家を飛び出した。


「遅ぉなってすまん!待っとった?」

「待っとったわ。2分遅刻や。」

小野塚は本当に細かい男だ。

「文、小野塚、早くいこ!観察用のメガネ貰えるけん。」

ミナミだ。


「ん?」

文はなにかに気付いた。

「どしたん?文...」

小野塚が混ざってくる。

「あれ、あの物体は何?」

文は指を指す。

「あ...あれって。文ちゃん、」

ミナミが声をもらす。

「あ.....」



それ以来、登坂市という存在が、消えた。


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