7日目⑤
*
おれは居間のソファに座らされていた。嘘がバレて妹たちに責められていた。
秋加が困惑した表情でおれを見下ろしている。
「それじゃ、お兄ちゃんはいままでどこでお弁当を食べてたの?」
「一昨日は図書館で、昨日と今日は家で食べた」
秋加は呆然とした。
「じゃあ、いままでわたしは家で食べるためにお弁当をつくってたの?」
「ごめん」
謝ることしかできない。
「いつまで嘘を続けるつもりだったの?」
「それは…」
明日に異世界転生するから今日までだ。だが、異世界転生しなければどうだっただろう。
「たぶん、バレるまでずっと…」
秋加は真剣な表情で言った。
「お兄ちゃんがバイトにいってないことは仕方なかったのかもしれない。でも、わたしたちで話しあうことが必要だったと思うよ」
声を荒げずに淡々と責められて胸が痛む。
秋加は語調を変えた。
「あまり思いつめないでね。わたしはお兄ちゃんを応援してるから。お夕飯にしよっか」
ため息をつく。「ちょっと疲れちゃった。簡単なものでいい?」
夏未とつゆりが謝罪する。
「ウチらも黙っててごめん」
「ごめん、なさい」
つゆりは背中を折りたたむように低頭した。
秋加は苦笑した。
「いいの、いいの。それよりこれからの話をしよう?」
そう言い、台所にいく。
おれは居たたまれなかった。
つゆりが小声でつぶやく。
「じゃが、姉上はどこにいったのじゃろうか」
夏未がすべての事情を説明したあと、美冬は何も言わずに家を出た。
「美冬姉、お兄のことを尊敬してたから、嘘をつかれたのがショックだったのかもね」
夏未は憂鬱そうに言った。
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