目的

慌ただしい生活の中でゆっくりとした時間の流れ自分だけの部屋がありその心の余裕なのか、疲れがどっと出たのか久しぶりに質の高い睡眠がこれた。

地方組の多くが今週中に上京して寮に入居しはじめるらしい。

私は一番の入居者だったのでこの建物の事を松本さんに案内していただきながら自分の置かれた環境をゆっくりと確認していく。


共同の大浴場もあるが部屋風呂もあり私はそちらを利用することのが多くなりそうな気がしていた。

レッスン室も完備されているのでダンスや基礎体力を付けるのに無趣味な私はここに入り浸ることになるだろうと勝手に判断していた。

外見には多少の自信があったので、ここの努力を惜しむわけにはいかない。


環境としてはあのクローバーハウスと比べると非の打ち所がなかった。

しいて言えばwi-fi環境があまり整っていなかったので端末のプランを動画SNS使い放題のものに変えることに頭を悩ませる。


今後の活動についても松本さんから説明があった。オーディションに受かった時点で勝手にすぐにCDデビューまで忙しくなると思っていたが、そこにいたるまではしばらくのレッスン期間と学生が多いことにより活動の基盤が整うまではしばらく時間がかかるようだ。


松本さんは管理人さんでありながらプライベートマネージャーのような存在であり、疑問を投げかけるとすぐにその答えを返してくれた。

頼りになる方だ。

もともとアイドル経験のある方で時間を持て余した私に基本的なダンスレッスンなども付き合ってくれた。

今までこんなにも、親身に接してくれり大人がいなかった。


「もうすこしメンバーが揃ってから、CDデビューまでのドキュメント撮影なんかも入ると思うから常に見られてる意識も大事にしよう」


そう言って化粧と無縁の私に学生アイドルらしいナチュラルメイクなんかも教えてくれた。


そして、私はそんなアイドルとしての始まりの中学校の裏サイトのチェックを欠かさなかった。

すでにあの焼け焦げた制服での登校シーンなどの写真はあげられていて、日々サイトの話題の中心にいた。


着々と私の噂は1人歩きしていく。

もともとそんな存在である事はわかっていたが、そこに期待のアイドルという付加価値が付き私は地元ではどんどん有名になっていく。


ただ少し、もう少し情報が欲しい。

もう一度登校する必要がありそうだ。

そして利用できそうな目星がついているあの2人に接触しなければ私はただの現実逃避アイドルで終わってしまう。


あくまで私の目的は復讐である。アイドルになることではない。

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