ショウシツ

「ただいま」


私は家に入る。靴を脱ぐ必要はなくなった。もはや家とは言えぬその場所はどこも消化の際の水浸し、さらに警察の方や消防の方がなにやら調べてるれしくうろちょろしている。

私はすぐに自分の家から追い出される。


しかたがなく家の外からヤジウマに混ざりしばらく家を見ていた。

偶然にも私が立ったその場所は父と家が燃えていく様を目の当たりにした同じ場所だった。


再び涙が溢れてくる。

中学の同級生やらもヤジウマに現れてスマホで写真を撮っている。バカにしやがって。

私はそのスマホを奪い取り地面に叩きつけて踏みつけてやった。


「バカにしやがって、お前の家も燃えろ!」


普段だったら何倍返しでやり返されてもおかしくなかったのだろうが。さすがに私が置かれた状況と、涙を流しながらの怒りの形相の迫力に圧倒されたのか。


「ごめん。」


気まずそうに静かな声でそう答えた。


その様子を見ていた警察が私のもとにやってくる。

「この家の方ですか?」

「はい。」


私は再び警察に保護される。

まだめんどくさい質問などをされるのだろう。

まだ子供だからを言い訳にしたくはなかったのだが、あまりにも私は無知なのでその流れに身を任す事しかできない。


頼れる大人も友人もいない私。

今後どうなるのかもよくわからない。

自身の事、父親の事を考えながら警察と長い間話をしたが、なにを話したのかもよく覚えていない。


帰る場所のある中で、いじめこそあったものも。あの日常は今に比べたらまだ天国だった。


おそらくあの中学の同級生が撮影していた動画もおそらくすぐにグループ内でひろがり、高校のクラスメイトも再生するのであろう。


哀れみと共に、いじめと父親は消えていくのだらうか。

もはやわたしには失うものが無くなったので、いじめがまだ続くのであれば報復にうってでようか。


みんなが楽しんでいる夏休みは始まったばかり。

終わらせた課題も焼けてしまったのであろう。

夏休みが終わらなければ良いな。と人並みに思う。

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