女装と男装

tada

第1話 出会い

 俺、嬬恋つまごい あかにはたとえ家族であっても絶対にに言えない趣味が、一つだけ存在する。


 その趣味とは⋯⋯女装だ! そう俺には女装癖があるのだ。


 もちろん擬似胸もつけ、下着も着用するガチの女装それが、俺の趣味だ。

 そんな俺は毎週日曜、女装をして外を出歩くのが最近の習慣になりつつあった。

 少し前までは声を出したら一発でバレて、変態扱いされるので、部屋の中だけで楽しんでいたのだが、最近リリースされた[コエカワール]のおかげでその問題も解決できた。


 そんなことを考えながら、五月の始めの日曜日高校生になってから初の女装で外に出かけた。


 俺はまず街に行くために電車に、乗ろうと駅に向かった。

 その道中俺を自身づける出来事が起こった。


 俺が駅に向かって歩いていると、突然男三人に声をかけられたのだ。


「ねぇねぇお嬢ちゃんお兄さん達と遊ばない?」


 なんだよその典型的なチャラいやつらのセリフは、だけど俺女性に見えてるってことだよなやったー! そんなことを考えながら俺は[コエカワール]を使って返答をした。


「嫌です」


 俺はとても可愛い声で、そう返答をすると男たちを睨みつけ、長く垂れた綺麗なウィッグを揺らしながら思いっきり走ってその場を後にした。


 そのまま走りで駅まで来てしまったため、予定よりも早くについてしまった。

 仕方なく俺は駅のホームに座り時間を潰すことにした。

 ポケットからスマホを取り出し、SNSをチェックしても時間が余ってしまっていたので、カメラを起動して一枚カシャッと自撮りをした。


 自撮りをした写真を見てみる、その顔は男なら誰でも好きになってしまうんじゃないのか!? というぐらい美少女に撮れていた。

 この写真は俺の宝物にしようと心に決め、ちょうど来た電車に乗り込んでいく。


 数十分電車に揺られていると街についた、俺は電車から降り目的は特にないので、適当にぶらつくことにした。

 この街は東京ほど都会ではないものの、そこそこ色々なお店や、遊び場もある人通りも多いそんな街だ。


 俺はその街を完璧な女装で歩いている、この快感を感じるために俺はここまで来たと言ってもいい。


 自分でも気持ち悪いなと思いながらお店で飲み物を買う。


「じゃあオレンジジュースください」


 俺がそう言いながら顔をあげると、お店の男性店員は少し反応が遅れた。


「はっ、はいオレンジジュースですね」


 またもや完璧な女装ができていると俺が、優越感に浸っているとすぐに飲み物は出てきた。

 俺はその飲み物を受け取り、お店を後にする。


 飲み物を飲み終わりもうそろそろ帰ろうかと、歩きだした時だった。

 俺は少し男性にしては肩幅も小さくとてもがたいが、良いとは言えないそんな男性にぶつかってしまった。


 俺はすぐさまもちろん女性の声で、謝った。


「ご、ごめんなさい」


 するとその男性も謝ってきた。


「こっちこそごめんなさい」


 男性の声はとても低く俗に言うイケボと言える声をしていた。

 男性は真っ先に態勢を立て直し俺に手を差し伸べていた。


「大丈夫? 立てる?」


 俺はその声を聞いて胸がキュンと締め付けられ、男性の手を取り引っ張りあげられるに連れ心までもが引っ張られていた。

 そう俺はこの男性に恋をしてしまったのだ。


 俺は態勢を立て直すやいなや勇気を振り絞り、男性に投げかけた。


「あなたの名前⋯⋯聞いても良いですか?」


 するとなぜだか男性は一瞬反応が遅れたが、名前を教えてくれた。


「俺の名前は桐生きりゅう 晴紀はるきです」


 晴紀はそのまま言葉を繋げた。


「あなたの名前は?」


 俺の名前は嬬恋 紅だが、女装する時には違う名前を名乗っている。


「私は嬬恋 みどり


 その名前を聞くと晴紀はなぜだか微笑したので俺がなぜ? という表情をすると晴紀はすぐに答えてくれた。


「いや俺の友達に同じ苗字のやつがいて、そいつのこと思い出すと笑っちゃって」


 そういえばと俺も思い出した。


「私も桐生さんと同じ苗字の友達いますよ、偶然ですね」


 俺はは微笑しながら返答し、もうすぐ別れそうな雰囲気だったので最後に一つお願いをした。


「桐生さん、連絡先交換しません?」


 すると晴紀は一言「いいよ」と言いながらスマホを取り出した。

 俺もポケットからスマホを取り出し、女装用のアカウントに切り替え晴紀と連絡先を交換した。


 その後、晴紀とは別れ俺は電車に乗って家に帰るのだが、その道中胸のドキドキが止まることはなかった。



 それから数時間後の夜俺はベッドの上で晴紀に連絡していいものかと悩んでいた。

 突然連絡して気持ち悪いとか思われたりしないかな? などと悩んでいた。

 ベッドの上で悩みながら転がりまくっていた。

 すると隣の家から声が聞こえてきた。


「紅ーうるさい」


 声の主は隣に住む幼馴染の桐生 雨音あまねだ。

 俺は一言「ごめーん」とだけ返した、俺と雨音がうるさいと言い合うのはいつものことなので、もうすっかり一言で終わるようになってしまった。


 今日は晴紀に連絡するのは諦めよう、そう心の中で念じ、一つ決め事をした。

 近々晴紀を遊びに誘おうと。




 私は桐生 雨音、私にはたとえ家族にも言えない趣味がある。


 その趣味とは⋯⋯男装! そう私には男装癖がある。


 そんな私は今日、五月の始めの日曜日高校生になって始めての男装で街を歩いてきた。

 そこで私は人にぶつかってしまった、私はすぐに起き上がりぶつかった人に、手を差し伸べた。

 その人はとても綺麗な長い髪を垂らし誰が見ても美少女と答える見た目だった。

 私はその女性に一目惚れしてしまった。

 その人の名前は、嬬恋 翠というらしい、ぶつかった後になんやかんやあり私は、翠の連絡先をゲットしたのだった。

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女装と男装 tada @MOKU0529

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