目覚め

「なぁ、これもう死んでるんじゃないのか?」

「そんなわけないだろ 連れてくるとき俺がおぶってたけど何かよくわからない液体でジャケットべたべただったぞ」


おい、俺見知らぬ人におぶられて泣き散らかしたのか…情けない。

誰かわからないけどごめんなさい。起き上がって謝りたい気持ちはあるが、怖くてなかなか身を起こせない。


「イオもチオも手加減したもんな?」

「まぁたしょうは」

「うん、わたしはした」

「わたしもしたもん」


おい、あれは二人とも手加減してないだろう、死ぬかと思ったぞ。体全体、臓器一つ一つに響きまくったわ。そして完全に起き上がるタイミングを見失ってしまった。


「ううん、思いっきり腹ぱんしてた」

「そんなこといったら」

「わかったわかったから、じゃあ馨弥かやが間違って毒ガスでも吸わせたか?」

「失礼ね、そんなヘマするわけないでしょ」

「なんで起きないんだろうな」

「死んでるならイキのいいうちに解剖しちまおう、藤野さん達呼んでく」


「ちょっと待ったぁぁぁぁ、生きてる生きてるから、なに人の体いじくろうとしてんの」


我慢できずに飛び起きてしまった。きっとあのままでは手術台の上まで待ったなしのスピード感だったから。


突然の大声に驚いたのかあたりが静まりかえる。


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