罵倒と暗闇

「マルカ、Code101010001 」

「了解」

「後のみんなもわかっているな」


よく通る声が素早く的確な指示を出す、この様子からきっと彼がリーダーなのだろう。なんたらコードにより攻撃が激しくなった。

次の瞬間数人を相手している間に加賀屋さんが油断して俺の首を離してしまう。

攻撃されてはいけないと身構えると先ほどの華奢な腕の持ち主であろう女の子が、煙に紛れ俺めがけて手刀を振り上げているのが見えた。

お人形さんみたいな顔してるのに、表情はまるで手練れのそれだ。

逃げようと正面を向きなおる、そこには同じ顔の女の子が今度は拳を腹めがけて打ち込まれる寸前だった。

もうどこにも行けない、終わりだ、見事に首と腹に二つ衝撃を受ける。あまりの痛さにゆっくりと気を失う。

最後に聞こえたのは加賀屋さんのおそらく俺に対する罵声と控えめな声の「ごめんね」。


そしてまた何もない暗闇に横たわることしかでいない俺がいた。


まぶたの表にうっすら光を感じる。でも怖くて目が開けられない。またビルの屋上での拘束や恐怖のかわいこちゃんがいるんだったらたまらないじゃないか。


そう思ってこのままもう一度寝ようとしたら、なにやら騒がしい声が聞こえてくる。

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