白煙戦
チッ、嗅ぎつけるのが早いわね」
加賀屋さんは何かを察知して、警戒するように白い煙を睨みつけている。その先では無数の影がうごめいていた。
「マルカもっと濃度をあげろ」
「命令口調で言わないでよ」
「悪かったよ、マルマリー、投与者の位置を確認」
「スカーレットリリーの前だ」
「カーディナル、カーマイン保護してくれ」
「「はいマルミール」」
なんだ、何が起こっているんだ。白煙はどんどんと濃くなりあっという間に包まれて状況が把握できない。迫った煙を吸わないように後ずさりすると、突然背後から華奢な腕に引っ張られて白煙に引きずりこまれそうになる。
「うおぉ、痛い痛い痛い、引きちぎれるから」
その白い腕は見た目に反した怪力でひ弱な俺の腕を引っ張ってくる。引きちぎれそうになったときに、腕に向かって銃弾が数発放たれた。加賀屋さんは無数の影に応戦しつつ、俺の首根っこを掴み、「私のそばを離れないでよ。このボンクラ」と怒鳴った。
かなり余裕がないようで、首を掴んでいる手から焦りを感じる。彼女は鉛玉を大量に飲み込んで片方の手の平を煙に向けて打っている。風圧で穴をあけ、そこからチラチラと動く影が見える。
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