フラデ・フォース


指をそのまま上に振った瞬間、何かが俺の頬をかすった。そこからは痛みと液体が滴る感触がする。

え、今本物の銃弾じゃなかったか。指から、どうやって。彼女はそのまま指を撫でながら微笑んでいる。


「怖くて声が出ないって感じかな?まぁそうよね、いきなり打つのは確かにひどかったかも、ごめんね。ちゃんと説明してあげる あなたにも関係のあることだから」


俺の気持ちを無視して勝手に話が進んでいく。


「まずはあなたが今縛られてる理由から。それはさっきも言ってた花咲き病の再発が主な理由ね」

「再発の治療のことか?」

「治療って表現は違う。強化?覚醒?みたいな感じ」

「病気を強化って…」

「花咲き病自体を強化するってことじゃないよ、再発した花を強化するの」


さっきから言ってることがわからない。文学部のくせにこいつ日本語下手だな。呆れた顔で黙っていると


「あんたほんとに理解力低いわね。大学でほんとに情報処理学んでるわけ?」


それとこれとは関係ないし、お前だけには言われたくない。けどその言葉を口に出すと面倒なことになるし、万が一またあの得体の知れない指で打たれても困る。

にらみつけるだけにしておこう。


「だから私達は選ばれたのよ。赤い花の能力に。さっき私の指から鉛玉がでたでしょ?あれも赤い花の能力、つまりフラデ・フォースのおかげ。」


「赤い花の能力?フラデ・フォース?お願いだ、ちゃんとした日本語で喋ってく」


言いかけた時にはもう遅かった。足の付近に一発銃弾が煙をあげてめり込んでいた。


「それ以上私を馬鹿にするような事を言ったら次は頭にでも打っちゃおうかな」


ニコニコと笑いながらとんでもないことを言う。


「わかった、悪かったから。そのフラデ・フォースってなんなんだ?」


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