第2話 じゃがいも男爵に逆さ虹をプレゼントするまめ

 ここはやさいたちが住む島。ベジアイランド。今日もやさいたちは楽しく、ゆかいにくらしております。

 えだまめのおしろに住んでいるまめの王子様【ピスオ】は大好きなコーヒーに砂糖をたくさん入れてのんでいると【コンコン】とドアの音がなりました。


「だれまめか?」


 ピスオがドアに目を向けるとドアがひらき、立派なお馬からぴょんと飛びおりてウエスタンハットをカッコよく被っている【にんじんくん】が入ってきました。


「にんじんくんまめか」

「おっす。ピスオ! 元気にしてたか?」

「ピスオはいつも元気まめ」

「そうか、それならよかったぜ」


 と、にんじんくんは帰ろうとしました。


「ちょっと待つまめ。なにをしにきたまめ?」


 にんじんくんはピタッと立ち止まり、くるんと回ってピスオの体をぶんぶんとゆすります。


「聞いてくれよ。聞いてくれよ」

「聞くまめ。ちょっと落ち着くまめ」 


 にんじんくんはピスオをゆするのをやめてせすじをピッと伸ばしました。


「で、なにまめか?」

「実は、男爵が元気がなくてこまっているんだぜ」


 かっこいい決めポーズをするにんじんくん。


「全くこまっているように見えないまめ」

「こまっているんだぜ!」


 別の決めポーズをするにんじんくん。


「二回はツッコまないまめ。男爵(だんしゃく)ってじゃがいも男爵のことまめか?」

「そうだぜ。元気がないんだぜ」

「本当に元気がないまめか? 直接会ってたしかめるまめ」


 そういうと、ピスオは玄関を出て、にんじんくんのお馬にまたがり、にんじんくんを置いてじゃがいも男爵のおうちにむかいました。


 丸くてじゃがいも色のおうちの前についたピスオはお馬から、おりて、ドアを【コンコン】と二回叩きました。


「入るまめよ」


 まだじゃがいも男爵からはへんじはなかったのですがピスオはおうちの中に入ります。

 中に入るとイスに座り、元気のないじゃがいも男爵、男爵をしんぱいそうに見ているメークイン王女、キタアカリ姫がいました。


「どうしたまめか?」


 ピスオに気づいたメークイン王女とキタアカリ姫はうれしそうな顔になりました。


「よく来てくれましたピスオ王子」

「ピスオだ。ピスオだ」

「にんじんくんからきいたまめ」


 メークイン王女はじゃがいも男爵を見てこまった顔をしました。


「にんじんさんが。じつは、私たちは遠いばしょから、はるばるこのベジアイランドにやってきたのですが、そのあいだ、たくさんの冒険をしてきたのです」

「たっくさんいろんなことがあったのよ」

「そうまめか」

「ここについてしばらくたちますが、あまりにも住みごこちがよいため。しげきがないと、元気をなくしてしまったのです」

「自分勝手まめね」


 じゃがいも男爵は天井を見て見ながらこう言いました。


「しげきがほしいのであーる」

「じゅうしょうまめね」

「ピスオ王子、どうか男爵をしげきをあたえてはくれませんか?」

「わかったまめ。暇だからやるまめ」


 と、ピスオが外に出るとにんじんくんが走ってきました。


「ピスオ! 俺の愛馬(あいば)をとるなよ」

「のりごこちよかったまめよ」


 にんじんくんは、うれしそうにむねをはりました。


「だろ? なんたって俺のあいぼうだからな」

「そうまめか。お馬さんかりるまめ」


 とえっへんをしているにんじんくんをおいて、ピスオはしげきをさがすためにピーマン親子にはなし聞きに行くことにしました。


 ピーマン親子は手をつなぎ、お散歩をしています。

 ピスオはピーマン親子の見つけ近くにいきました。


「ピーマンパパ、ピーマンママ、ピーマンくん、こんにちはまめ」


 お馬さんからおりたピスオにピーマンくんはニコニコしてピスオに近づきましす。


「ピスオ兄だ! 一緒に遊ぼ!」

「ピスオは忙しいまめ、あとであそぶまめ」

「あとでね! やくそくだよ」

「やくそくはできないまめけどやくそくまめ」

「あら、ピスオちゃんどうしたの?」

「ピーマンママ、しげきを求めているまめ」

「しげき?」

「そうまめ、かんどうしたり、見たらわああってなるものをさがしているまめ。なにかあるまめか?」


 ピーマンママはピーマンパパの顔を見ました、するとピーマンパパはこういいました。


「だったら、森のおくにある逆さ虹を見せたらどうかな? あれはすごくきれいで、しげきてきだと思うよ」

「いいことを聞いたまめ。その逆さ虹はどうやっていけばいいまめ?」

「その行き方は、私も知らないんだ。でも双子のキャベツレタス姉妹なら知っていると思うからきいてみるといいよ」

「ありがとうまめ。助かったまめ」


 ピスオがお馬さんにまたがりしゅっぱつしようとするとピーマンくんが手をふってくれました。


「また遊んでね」

「わかったまめ」


 お馬さんに乗ってピューとひとっとび。ピスオは双子のキャベツレタス姉妹のおうちにとうちゃくしました。


「ここまめね」


 ドアを【コンコン】とたたいて、ピスオはおうちに入って行きました。


「入るまめよ」


 すると色が少し違うだけのとっても顔が似ているキャベツさんとレタスさんがいました。


「こんにちはまめ」

「ピスオくん、いらっしゃい」

「ピスオくん、いらっしゃい」

「聞きたいことがあるまめ」

「なーに?」

「なーに?」

「逆さ虹にのことについて聞きたいまめ」

「逆さ虹? ああ。森のおくにあるみずうみにうかぶ、あれよ」

「そうね、あれね」


 キャベツレタス姉妹は思いだしているようで顔がとてもたのしそうです。


「その虹はしげきてきまめか?」

「しげきてきよ」

「しげきてきね」

「どうやっていったらいいまめ? 男爵に見せたいまめ」

「ここからまっすぐ、きたの方に向かうと森があるわ。森についたら、右の道から行くと近道よ」

「違うわ。左から行くと近道よ」

「右よ」

「左よ」

「どっちまめか?」


 双子の姉妹はどちらの道から行くのか、いいあっていると、にんじんくんが走って入ってきました。

 にんじんくんはピスオを見るとちょっぴりプンプンしています。


「いた〜〜! ピスオ」

「なんだにんじんくんまめか」

「なんだじゃないよ。ぼくのお馬を乗って、さがすのたいへんだったんだから」

「いいお馬さんっだったまめよ」


 お馬さんをほめられたにんじんくんはまたもうれしそうにむねをはります。


「でしょ! ぼくのお馬さんだからね」

「キャベツさん、レタスさんありがとうまめ。とりあえずいってみるまめ」


 ピスオはスタスタと姉妹のおうちを出ると、またお馬さんにのり、逆さ森の方へ向かいました。


 お馬さんに乗って逆さ森に向かっていると、ハチマキをしたおこめブラザーズの【おこめ太郎】、【おこめ次郎】にあいました。


「おう。ピスオじゃねえか!」


 ピスオはおこめ太郎とおこめ次郎を見るとお馬からおりお話をします。


「おこめ太郎と次郎こんにちはまめ」

「どうしたんだい? お祭りかい?」

「違うまめ。じゃがいも男爵にしげきをあげるために逆さ虹をみてくるまめ」


 おこめ太郎、次郎は歌舞伎(かぶき)の見栄のポーズをとりおどろいています。


「そいつぁ〜たいへんだ」

「でぇ事件だ」

「なんでもないまめ。ちょっと元気がないまめ」

「こいつわぁ〜俺らの出番じゃあねぇか!」

「まちがいねえ俺たちの出番だ」

「ちがうまめ。出番はないまめ」

「ピスオ、俺らはひとまず祭りのじゅんびをするから、逆さ虹をみにいってくれ」

「俺らがぁぁそれでまで、あよっと、つないでおくゼぇえ!」


 とおこめブラザーズは走っていってしまいました。


「自分勝手まめね」


 ピスオはお馬にのり、ついに逆さ虹の森の入り口にたどりつきました。

 キャベツレタス姉妹が言っていた通り、道が右と左に分かれております。

 ピスオはどちらの道に進もうか少し迷っていると、にんじんくんが走って

 やってきました。


「追いついたぜ」

「すごいまめ。すばやくなっているまめ」

「まあな。すごいだろ」

「すごいと言っておくまめ」


 にんじんくんはえっへんというポーズをしました。


「にんじんくんどうするまめか? 右と左まめ」

「まっすぐにしようぜ」

「まっすぐまめか」


 ピスオは少し考えました。そしてピスオは大きな声でおそらにさけびました。


「くもさ〜ん」


 すると、ピスオの前にくもさんがやってきました。


「やあピスオ、よんだかい?」

「くもさん、この森をまっすぐすすみたいまめ。みずうみのところまで連れていってほしいまめ」

「いいよ。背中に乗りな」


 と、くもさんは階段を作り、ピスオとにんじんくんを背中に乗せて、おそらにビュッととびました。


「いやっほー。飛んでいるぜ」

「楽でいいまめ」


 くもさんの背中に乗ってちょっと立つとみずうみが見えてきました。

 くもさんは、みずうみの近くにいくと、そのみずうみは水がなく、逆さ虹を映すことができなくなってしまってます。

 それにこまったにんじんくんはあわててしまいます。


「どうしよう! これじゃあ男爵が元気にならないじゃないか!」


 ピスオはくもさんを見てニヤリと笑いました。


「いい方法があるまめ」


 ピスオはみんなの住んでいる場所に戻り、ピーマン親子、キャベツレタス姉妹、おこめブラザーズを呼び出しました。そしておこめ太郎はピスオにたずねます。


「ピスオ! どんな祭りをするんだい?」

「この畑に虹を作るまめ」


 みんなはおどろきました。


「ここに虹なんてムリよ」

「ここに虹なんてムリね」


 子ピーマンはよろこんでいます。


「楽しいこと大好き!」

「でも、ピスオ、ここに映すお水がないじゃない」

「お水に映さなくてもいいまめ、ここに虹を作るまめ」


 にんじんくんはふしぎそうな顔をしています。


「どうやって虹をつくるんだよ?」

「自分たちの好きな色で虹をつくるまめ。くもさ〜ん」


 とピスオはくもさんを呼び出しました。


「なんだい?」


 ピスオがくもさんをモミモミするとくもさんは横に大きく広がりました。


「くもさんに書くまめ」


 みんなはおどろきました。


「ちょぉぉぉと待ちな。くもさんに書くっていいのかよ!」

「いいまめ。ピスオとくもさんは仲良しまめ」


 みんなはくもさんを心配そうに見ています。


「何を心配しているんだい? 僕はみんなとこうやって入れるのであれば何だってするよ」


 と、くもさんは笑顔で答えました。

 その言葉を聞いたみんなはおのおのの色を持ってくもさんに虹ができるように曲がった線を一本書きました。

 ピスオは緑の色で、子ピーマンも緑、キャベツさんは黄緑、レタスさんは緑、にんじんくんはオレンジ、そしておこめブラザーズは白で書きました。


 すると、そこに描かれている虹はちょっとだけ色が違う緑とオレンジ色の虹ができました。


「緑が多いまめね」


 と虹が完成すると、メークイン王女、キタアカリ姫に連れられて、じゃがいも男爵がきました。


「しげきがほしいのであ〜る」


 と、じゃがいも男爵は顔を上げ、くもに描かれている虹を見ました。


「今だまめ」


 と、ピスオはくもさんの反対側にぶら下がると、くもさんが逆になりました。

 すると描かれてる虹が逆になったのです。

 それを見たじゃがいも男爵はおおいに感動しました。


「すごい、しげきてき、しげきてきじゃあ」


 じゃがいも男爵は元気になりその後、みんなにじゃがいも料理をご馳走したのでした。


「じゃがいもも美味しいけど、ピスオはまめが好きまめ」


 めでたし めでたし。

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