第5話結局

 僕はいつぞやの男にまた会った。

以前よりも覇気がないようだが、気のせいなのか?


 男は僕に語り始めた。


「まだ確証はないのですが、猫が戻ってきたようなのです。一時は虎になって大変でしたが、今度はきっと猫であると思うのですよ。まあ、以前と同じ猫かどうかは定かではありませんがね」


 別れた猫の話は聞いたが、戻ってきた猫やら、虎やら、僕には話が全くみえなかった。


「先ずは、しっかり飼ってあげることですかね」


 男はそう言い残して立ち去った。


 結局、僕は男の言っていることが理解出来なかったが、以前より落ち着きがあり、そして何か悟ったような雰囲気を醸し出している、そんな後ろ姿に向けて言った。


「なんか分からないですけど、今の方が良いですよ」


 もちろん、男には聞こえていないだろうが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫捨て奇憚 九丸(ひさまる) @gonzalo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ