第2話 少年ヨハネとアシュラ、異世界の皇子ミトラの最初の出会い
少年たちは、
もう暗くなりかけた森で
いつまでも、
何度も何度も
フォースを放つ練習を
していた。
少し年長の少年が
年下の少年に、
一生懸命手ほどきするのだが、
うまくゆかない。
何度やっても、
年下の少年は
うまくフォースを
放出できなかったし、
操れなかった。
「もうあきらめろよ、アシュラ。
試験に落ちたって
良いじゃないか」
と年上の少年が言う。
「いやだ!僕は絶対、
光の戦士になるんだ。
女神になんか、なりたくない!」
と、もう一人の少年が
叫びながら、
フォースを放とうとするが、
やはりうまくゆかない。
ついに年少の少年は
泣きだした。
「女神だって良いじゃないか、
お前が不細工な女神になって、
だれも求婚してくれる人がいなくてもさ、
この宇宙一のイケメン、ヨハネさまが
お前をもらってやる。
だから泣くな」
と言い、年長の少年は
年下の少年を慰めた。
「ダメなんだ。僕には
生まれた時から、婚約者が
いるんだって・・・。
この間、お父様とお母さまから
言われた。
その婚約者が
すごい身分の高いかたで
これ以上の結婚相手は
望めないような特別の方だから、
絶対断れないって言うんだ」
と言い、年下の少年は
悲しくてまた泣いた。
「その方、お父様と同じぐらい
僕とは年が離れているらしい。
奥様を亡くしてから、
僕が生まれるのを
ずっと待ってた・・・って言うんだ」
「分化が遅れたからって、
なんでそんなに気にするんだろう。
言ってやるよ、アシュラ。
そんなおじさんのところにやらなくても、
僕がもらってやるってさ」
そんなふたりを
遠くから見ている
二人連れがいた。
ミトラと護衛のものである。
やはり噂にたがわぬ、
きれいな少年だ。
まだ未分化前だが、
もうすぐ変成しそうな
女神の色香が感じられる。
とびきりきれいな女神に
なるだろう・・・
と、ミトラは思った。
この少年が女神に変成したら、
本当に厄介なことになりそうだ・・・
と、ミトラは感じ取り、
手をうつことにした。
変成させなければ
良いのだ。
光の戦士なりたいと云うのならば、
ならせてあげよう。
どうせ大した戦士には
ならないだろう。
女神を誕生させるよりは、
二つの世界が戦いになったとき、
わが異世界軍へ与えるダメージは
少ないはずだ。
ミトラは、
護衛のものを振り切り、
ふたりに近づいて行った。
そして
「フォースとは、
こういう風に使うもんだ」
と言い放つと、
アシュラをフォースで
飛ばし、
自分の足元へ落した。
そしてアシュラをその腕に抱き
持ち上げ、
口づけをした。
口づけをしながら、
ミトラはアシュラに
少しばかりだったが、
自分のフォースを
分け与えた。
「お前に今、フォースを
分け与えてやった。
だから、泣くな。
私のフォースは特別だから、
試験には受かるはずだ。
立派な戦士になれよ。
戦場で会おう」
と言い放つと、
一瞬のうちに
消えていた。
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