episode2-4 「彼女の直向きな姿勢に彼は関心する」


家ではよく解放的な気分になりたがる人は少なからず居るであろう。


寝る時は、全裸とか。


まあ、ラブコメとしては幼馴染の女の子がお風呂上がりに脱衣場で鉢合わせして見事、裸体をお目にかかる事はあるだろう。


現実的に考えれば、そんな事したらぶん殴られるか二度と口を聞いて貰えないか、一生ジト目を向けられ「変態」の称号を頂くものである。



いい歳こいたおじさんが、女の子の下着姿を見るとは思わなかった。ましてやそのお母さんと一緒に…


まだ担当の娘さんとも会ってないのになんというスタートなんだ…と東河は心の中で泣いていた。


東河は殴られるか、罵られるか、ジト目のいずれかが来ると思っていたのだが下着姿の彼女は頬を赤く染めながら「…き、来てたんだ。」と言うや否や、直ぐに2階へ戻って行った。


微妙な反応だった為に、リビングに居る2人も微妙な空気となってしまった。


「…あはは」


としか言えなかった東河は己の不甲斐なさを嘆いた。


由祈も「そうそう、ケーキがありました。今からお出しするので少しお待ちくださいね」と言いリビングを後にする。


一人リビングに取り残された東河は、おもむろにポケットに入っていた携帯を取り出す。


画面には1件のLINEが来ていた。

三枝からであった。


「先輩、腐った目で挨拶しちゃだめですよ?ましてや相手は先輩初めての女の子ですからね。優しくしないと嫌われますよ、あと近づきすぎるとキモイと思われますので気をつけてくださいね。先輩ただでさえ友達は私しか居ないのに、これ以上女の子に嫌われてたら…」


すごいなあ…心配されてんのか、ディスられてるのか分からんわこの文章。


思わずふっ、と微笑み「ありがとさん」と返信し、携帯の画面を閉じた。


しばらくすると、玄関の扉が開いた音が聞こえた。


「ただいまあー」


聞いた事のない声により、声の主は由南である事を確認した。


「あ、おかえり由南。ついさっき家庭教師の先生が来てくださったわ。鞄を置いたらリビングにいらっしゃい。」


リビングのすぐ外で由祈が由南に話して、「うん、すぐ行くー。」と言い、2階に上がって行った。


「直ぐに、由南が来ますので。お待たせしてすみませんでした。」


由祈はショートケーキを東河の前に出した。


緊張してばかりだったのか、ケーキを目の前にしてとてもお腹が空いた。


とりあえず、空腹を我慢し由南が来るのを待つ。

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年上の彼はぼっち 蒼風 @kyorochan

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