第4話:異性と身体

「身体を貸してください」

「表現が厭らしいね」

「ふざけないでください」

「少しくらいふざけても罰は当たらないだろう。僕のところに来るっていったらその依頼しか無いんだし」

「女性に近づくならやはり男性の方が都合がいいかと思いまして」

「まぁ、否定はしない」

薄汚れた部屋で知人に交渉中です。

知人の部屋を薄汚れたと表現するのは失礼な気もしますが事実なので仕方がありません。

ホコリだらけのクモの巣だらけ。

家具と言えるのは知人が使っている机と椅子だけ。

人間が住める環境とは程遠いここが知人の城。

その椅子は私が使用しているので知人は机の上でうっすらと笑みを浮かべています。

机の上が定位置になって久しいからか、知人からそのことで苦言を言われることもありません。

知った仲です。

旧知の仲。

それでも結局知人止まりなのは仕事でしか関係を持っていないからでしょう。

「予定は? 必要ならメンテナンスしておくけど」

「できる限り早急に。時間を置く必要もありませんので。お近づきになるだけなのである程度顔が整っていれば問題ありません」

「ある程度っていうのが難しいのよ。好みなんて人それぞれなんだから」

「では、今のあなたで充分ということで」

「急に適当だな」

認めましょう。

抵当です。

今回はカールスさんという依頼者がいる以上美形過ぎるのもなにかと不都合もあるでしょう。

正直会話が面倒くさくなったというのもあります。

早く帰宅して計画を立てなければ。

胃の中のものも捨てたいですし。

心なしか身体が思い気がします。

二人分は食べ過ぎだったでしょうか。

「それでは了承いただけたということで、詳しい内容が決まりましたら連絡しますので諸々整えておいてください」

「はいはい」

「あぁ、それから…」

お腹を擦りながら引きこもっている割には人脈が広い知人へ追加の注文を。

「お医者様の紹介もしていただけますか?」

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