第2話

 この学校では、ひとまず体育館に全生徒を待機させることとなったようだ。半地下のような場所にある体育館に、先に来ていた生徒や先生達によってひとまずの支給品を運んでいる。


「ほら、お前らも突っ立ってないで手伝え」


 顧問の坂井だ。


 俺たちに一言そう言うとほかの先生達のところへと状況報告をしに行った。


「げっ、坂井かよ」


「……まぁ手伝おうぜ」




 準備には2時間弱かかって、7時前にはなんとか体育館に人数分の毛布や食料品などなどが用意され、俺らは早速寒さを凌ぐ場所の確保へと向かった。


 幸い、これが全校生徒って訳じゃなく部活動などで放課後残っていた生徒だけだと言うのが救いだった。

 とはいえ、保管してある毛布だったりも数が多いとは言えないはずだ。

 自分達の分まであるかどうかはまだ確証がない。


 体育館に入ると、既にいくつかはほかの人たちで埋まっていて、手頃な空きを探そうとした。


 端の暖房の下を狙っていたのだがもう既に女子グループの占領下だ。


「つか女子も同じなのかよ……煩くなりそうだな」


「しょうがないだろ……そういえば教室って使えるのかな?」


「わかんね。俺、坂井に聞いてくるわ」



 俺はあいつが先生に聞きに行っている間、1人でぶらぶらしていた。


「おっ春江じゃん!」


 ふと声をかけられた。


「丸岡か」


「なんだ、ぼっちかよー笑」


「いやあいつ、池田もいたりするんだけどな」


「へぇそう、あいつも軽音かー」


「お前バレー部だよな、今日練習あったんだな」


「そうそう、大会近いからさー、……」


 ひとしきり会話して丸岡が女子群の中へ溶けこんでいくと同時に圭人が戻ってきた。

「坂井が言うにはここでひとまず待機だつてよ」


 先生達が見回りに来る中、圭人は俺の脇に隠れながらまたしても撮った動画をネットにアップしようとしていた。


「うーむむ……なかなかアップされねぇな」


「さっきも思ったけどスマホいじっていいのかよ、先生いるからな?」


「いちおう『校内での使用は緊急時において認められている』んだぞ、なぁ?」


「お前のはそうじゃねえだろ」


「情報発信は役に立つだろ? 拡散拡散、世のため俺のため!」


「もう知らんわコイツ……」


「それにしてもアップロードおっせーな……って圏外なりやがった!」


 騒ぐ圭人を横目に周りの混乱具合を見兼ねる。

 周りでも家族への電話ができないと大騒ぎになっているが、雹のせいなのか? いやいやありえん。


「連絡を取りたい生徒は1階職員室でお願いしまーす」

 先生の呼びかけにより数人が1階へ移動し始めた。


「なんだよ、体育館通じねえとか! とりま職員室行こうぜ!」

 圭人はノリノリだ。絶対動画を載せる気だろうが。それよりも俺も家族との連絡を取るために体育館を出ることにした。



 通信障害に対する疑問は早々解決した。


 何故ならば、1階に上がって外を見た……その時、この異常な事態から察したからだ、


「……なんなんだよ、これ」



 そこは一面「氷の世界」に変わっていた。




 ▲▽▲



 学園サバイバル開始!


 キャラクター


 春江 龍太

 2年D組8番

 本作主人公。取り敢えずゆっくりしてたい、運動嫌い系男子。


 丸岡 つぐみ

 2年D組23番

 わりと主人公春江に気さくに話しかけてくる女子。互いに苗字呼び。


 池田 圭人

 2年D組2番

 春江とはクラスでも部活でも同じ。SNS系男子。



 坂井 慎平

 軽音部顧問。担当教科は数学で2Dの担任でもある。

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