第2話始まりは全部手作り


「ドミグラス、デミグラス、どっちにしても


手作りって、大変でしょう?お金と時間が」


「ああ、私が作ったのは牛肉をふんだんに


使うものではなくて、まあ、原始的って


言い方は何なんだけど


食べて余った肉の骨とか、野菜くずとか


三日ぐらい煮るってもの」


「三日? 」


「本当は三日三晩というらしいけど


さすがに夜は無理だから、時間的には


半分かな、何度か漉して,できた」


「どれくらいの量?」


「一般的な家庭用の鍋満タンが最終的には


小さいジャムの瓶にいれたら


一センチ、二センチはなかったと思う」


「そんな量しかできなかったの? で味は? 」


「うん、本当にドミグラスソースの味だった。


でも、色がね、その深緑というか、野菜の色


を煮詰めた色で、正直食欲のわくような


感じでは・・・でも味は良かった。


不思議だったのは、骨とかは煮たらほとんど


溶けてしまったけど、ほうれん草の根っこは


きちんと残ってた、驚き! 」


「すごいね、それはドミグラスの後に手作りがいるね! 


り、りだねじゃあ私も手づくりしたこともある


リコッタチーズ! 」


「ああ! そうだね! 本当に家でできるチーズ


だもんね」


「カッテージチーズを作った残りの液を


鍋にかけて混ぜながら「ほんとうにできるの? 」


と思った。どんどん少なくなって残ったものを


食べた時は感動したね。もったいないって精神は


日本のものだっていうけど


海外にもちゃんとあるじゃないかって思った」


「そう、そう、日本で言うなら、おから、かな」


「そうね、おからも、誰が調理しようと思ったんだろうんね


料理はもったいない精神の宝庫かもね」


「じゃあ、チーズ、ズ、ず、ずんだ餅! 」


「メジャーになったね、ずんだが。はじめはびっくりしたけど」


「そう? 私はもっと早く全国区になってもいいのにって思ってた」


「先見の明だね、日本でもまだまだ新発見がありそう


ち、チ、チーズケーキ、ヨーグルト使用! 」


「ああ、ヨーグルトの、私はまだ作ったことないんだけど」


「私もだいぶん味に差が出ると思ってたけど、そうでもなくって


出来立ては、フカフカしてて最高。これは本物もそうだけど」


「出来立てのチーズケーキ出すケーキ屋さんなんて


あったらいいのに」


「お菓子の出来立ては、また格別だよね、でもこのケーキの


最大の弱点は、冷えると若干水分が・・・」


「ああ、それは仕方がないね、ヨーグルト使用


う、う、それでは、ウズラの卵のマヨネーズ!」


「ウズラのたまごの? 売ってるの? 」


「いやいや、作るの!」


「自家製マヨネーズ! これもいいよね味がマイルドで」


「そうそう、すごくおいしい。お好み焼きの


オーロラソースで使ったら、なんだか高級になった感じ」


「でもウズラの卵っていうことは、あの殻の


やわらかい卵から黄身だけ取るのが大変でしょう?」


「それが最大の難所かな。後はマヨネーズと同じ、混ぜて混ぜて」


「でもどうしてウズラで?」


「ほら、普通に黄身一個分で作ると大量にできるでしょ、


一回じゃ使いきれない。まあ、黄身の量を減らせばいいけど


それじゃあ面白くないと思って、たまたまウズラがあったから


やってみたら、大成功! これは勧めるよ。


ウズラって大体五個で卵一個分らしくて


できる量が五分の一だったら


量としてちょうどいいでしょう


しかも栄養価は鶏の卵より優れているから


味が良かったのはそのせいかもしれない」


「作る量は大切だよね」


「手作りマヨネースは保存がきかないから」


「確かに、次の日は油が浮いてるから、今度挑戦するね! 」


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