第135話【完全なる罠】

「ぐぬぬ・・・抜けませんわ~!!」


ヘンリアッタはじたばたしているが一行に足が抜けない。

如何しようかとしていると。


「・・・・・くっ!!」


ヘンリアッタは後ろに炎の障壁を張った、そして攻撃を防ぐ。


「後ろを向きながら対応するとは舐められた者だな・・・ごほっ・・・」

「その声は・・・ロドリーですわね!?私今足を封じられて動けませんの!!

助けて貰えると有難いのですが如何でしょうか!?」

「ふん、どうせカッテージのチーズトラップに引っかかったんだろ

そんな間抜けを助けた所でなぁ・・・」

「ぐぬぬ・・・この美女を助けられると思って」

「いや、悪いが女漁りに来た訳じゃないし・・・ごほ・・・

そして言う程美女でも無いし・・・別のルートを行こうか」

「ちょ、ちょっとお待ちなさい!!美女ではないとは如何いう事ですか!!

訂正を求めます!!私は絶世の美女です!!」






ヘンリアッタがそんな漫才をしている頃、ヴェンデスは。


「ふむ・・・行き止まり・・・か?」


行き止まりに当たってしまった、しかし意味有り気に本棚が置かれていた。


「・・・絶対本棚に何か有るだろ」


本棚を退かすヴェンデス

本棚の後ろにドアが有ると思ったのだ、しかし無かった。

床に穴も無かった。


「本に何か秘密が有るのか?」


本を読み始めた。


「これは今月号の『月刊出来る魔法使い』の新刊!!

発売前なのに置いてあるとは・・・」


この試験を主催している王立魔法協会は凄いコネクションを持っているなと実感する。


「・・・持ち帰っても良いだろうか?」


中身を見ると『受験者の持ち出し不可』の判子が押してある。


「仕方ない・・・ここで読むか」


ヴェンデスは座って本を読み始めた。

無論これは協会側の罠である

この本棚には魔法使いが興味有りそうな雑誌や本が並べられており

読ませる事で時間を消費させると言う狡猾な罠である。

持ち帰ればその時点で『持ち出し不可』の判子を持ち出され試験は失格

と言う二重の罠である。

この罠の対策は見なかった事にするのが正解だが

魔法使いにとって見なかった事にするのは

あまりにも探究心が無さ過ぎるので好ましい状態ではない

事実上確実に引っかかる罠である。


「ふむふむ・・・なるほど・・・」


ヴェンデスよ、気付け!!それは罠なのだ!!

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