第134話【強襲】
パンプロ兄はパンプロ弟を担いでギブアップの為に来た道を戻って行った。
「これで宝玉は三つか・・・」
ホールで一人ごちるヴェンデス。
合格条件の上位二位に入るには心許ないだろうか、せめて後1つ。
万全を期すなら2つは必要である。
「まぁまだまだ探しに行く・・・」
「ぐわああああああ!!」
ギブアップの為に道を戻っていたパンプロ・ブラザーズが吹き飛ばされてホールに入って来た。
「!?」
「く、くそ・・・あいつ・・・いきなり・・・」
煙を上げながらがくりと気絶するパンプロ兄、コツコツ、と入って来る一人の女。
「あら・・・ヴェンデスさんではありませんの、奇遇ですわね」
「ヘンリアッタ・・・」
貴婦人の様な物腰の柔らかさで微笑むヘンリアッタ。
「・・・コイツ等はギブアップの為に
戻って行っていた筈だが戦う意味は有ったのか?」
「念の為ですわね、宝玉を持って居るかもしれませんし」
「残念ながらコイツ等が持っていた宝玉は俺が奪った」
「あらそうでしたの、ごめんなさいね、と起きたら謝って貰えます?」
「自分でやれよ」
「いやいや、私はこの試験の合格者になるのですよ?
脱落者と会うのは少し気が引けますわぁ・・・」
言うや否や火球がヴェンデスに放たれる。
「くっ」
回避するヴェンデス、火球は凍結した牛乳を溶かした。
「ほほほ、上手く避けますわね、ではこれなら如何です?」
炎のヴェーブが周囲に煌いたかと思えば大量の炎の球が飛んで来た!!
ヴェンデスは魔法の障壁を貼って防御に専念する。
「ほほほほほほほ何時まで持ちますかねぇ!!」
ヘンリアッタが次々と火球を打ち込んで来る
しかしヴェンデスは慌てず一歩一歩後退しながら
ホールの外に出るのだった。
「ほほほ、逃がしませんわぁ・・・?」
ヘンリアッタが異変に気が付く、足が動かない、妙に粘つくのだ。
「な、何ですのぉ!?これぇ!?」
足元の牛乳氷が溶けて牛乳に戻り、最初の牛乳トラップに戻り
チーズになり足元を硬化させたのだった。
炎魔法の連発で術者のヘンリアッタの周囲の氷が解けてしまったのが原因だろう。
このチーズトラップから脱しようにもチーズは固まってしまってとれない
炎で熱せれば溶けて動けるかもしれないが足毎焼く羽目になるのでそれも出来ない。
ヴェンデスならば魔法で刃等を作れるかもしれないが
ヘンリアッタは炎専門の魔法使いなのでそんな事も出来ない。
この状況、いわば詰みである。
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