第100話【ギルドマスター】

「・・・・・」


港で海を眺めながら物思いに耽るドン。


「おーいドンちゃーん!!」

「この声は・・・ギルドマスター?」


海から船に乗ってすっとぼけたマスク(´・ω・`)を

被った男が呼び掛けて来た。


「如何したーこんな所でー」

「・・・ちょっとね、と言うかアンタこそ何で船に乗ってるんだ?」

「ちょっとねー」

「・・・はぁ」


何と言うか掴み所の無い男だと常々思う。

神州進撃会ギルドマスター、本名は不明

すっとぼけたマスクを常に被っている魔法使い。

すっとぼけた態度を常に取るがやる時はやる男である。


「それでこんな所で何してるんだ?」


船から降りてドンの隣に座るギルドマスター。


「いや・・・実は弟と結婚した幼馴染に会いましてね」

「ほうほう、そんな事言ってたね」

「弟が病気で倒れて長くないので話したい、と」

「ふーん、それで?」

「とりあえず言伝はしました」

「へぇー・・・そうかー、それで?」

「それで?」

「何で君はここに居るんだ?」

「・・・昔を思い出しましてね、黄昏てました」

「ふーん、昔ねぇ・・・馬鹿みたいに剣を打ってた頃?」

「実際馬鹿、でしたからねぇ・・・」


しみじみと当時を振り返るドン。

あの頃の自分は若かった、がむしゃらに一つの事に打ち込めば

何もかもが上手く行くと、その結果が・・・


「まぁ後の祭りですわな」

「だなぁ、終わった事よりも先の事を見据えるべきだよ」

「良い事言うなぁ・・・」

「まぁーねぇ、一応こう見えてもギルドマスターだしぃ」


ドヤ顔(`・ω・´)を決めるギルドマスター。

すっとぼけたマスクは装着者の意志によって自在に変化する仕組みになっている。


「・・・はぁ」

「そーだそーだドンちゃん、ちょっと最近みょーな感じの空気になって来たから

ギルドの皆にそれとなく注意を促しておいてね」

「みょーな感じ?何だそりゃ?」

「良く分かんない、具体的には言えないけどみょーな感じだ

キューちゃんにも伝えておくからよろしく頼むよ」

「はぁ・・・良く分からんが意識してみるよ」

「うん、じゃあ私はこれで失礼するよー」


ふにょにょにょーと変な歩き方をしながらギルドマスターは去って行った。


「・・・さっぱり分からんなぁギルドマスターは」


微笑みながら満更でも無い様にドンは言った。

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