第67話【セールと職場】

キョクはローブが勤めていた職場にやって来た。

材木を扱う販売業者で待合室で待たされ暫く待ってようやく担当者が現れた。


「いやぁすみませんねぇお待たせしちゃって」

「いえいえこちらこそ急に押しかけてしまい申し訳有りません

それで早速なのですがローブさんについてお話を良いでしょうか」

「えぇ、彼はちょっと貴族と揉め事を起こしていたみたいなので

対外的に悪いので解雇したのです」

「貴族と揉め事?」

「えぇ、リンと言う貴族の方なのですが・・・ご存知ですか?」

「存じ上げておりますが・・・揉め事と言うのは?」

「詳しくは分からないのですが頻繁に来て言い争いをしていたみたいですねー」

「そうですか・・・ローブさんが行きそうな場所に心当たりは?」

「ありませんね、すみませんね」

「いえ、お気になさらず」


キョクは職場を後にした。


「特に情報は無かったな・・・宿屋に戻るのも早いし商店街に行くか

如何せキンの奴、道草食っているだろうし」


キョクは商店街に向かった、がそこには人が大勢居てまともに通行する事は難しかった。


「何だこの人だかりは!!」

「あ、キョクー」


キンが飛びながらキョクの元にやって来る。

手には買い物かごを持っている。


「あ、キョク!!」

「キン、何だこの人だかりは?」

「年に一度のセール中だって!!見て回ったけど凄い安いよ!!50E均一セールとかもやってる!!」

「やっすいなオイ!!と言うかローブの情報は?」

「買い物するついでに聞き回ったけど見てないって」

「せめて情報を聞き回るついでと言えよ・・・」

「まぁ良いじゃない、とりあえず宿屋に行く?そろそろ良い時間だし」

「少し早い気もするが・・・行くか」


キンとキョクは宿屋に向かった。


「キョク、ちょっと行き過ぎじゃないの?」

「・・・あれ?宿屋ってこっちじゃないのか?」

「しっかりしてよ、この先は貧民街よ」


地図を読み違え前に進み過ぎたキンとキョク。


「いやぁ、この辺だと思っていたんだけど・・・?」


貧民街に続く路地裏に立っているクハルを見つけた二人。


「クハル爺、何してんだ、こんな所で?」

「・・・・・今の、見たか?」

「今の?って何の事だ?」

「・・・・・」


何か信じられない物を見たと言うクハルの表情に緊張が高まる二人。


「・・・一旦宿屋に行こう、腰を落ち着けて話した方が良さそうだ」

「そうだな・・・」

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