第66話【日記】

ハックはローブの家に辿り着いた。

自身の寮の部屋と似た様なアパートの一室、それがローブの家だった。


「お待たせしました」


大家さんが鍵を持って来た。


「すみません」

「いや、前にも貴族様が尋ねて来てねー

話には聞いてたけど彼女が噂の・・・」

「噂の?」

「おっと、これ以上は言うのは不味いんだった、とりあえず中に入ります?」

「えぇ、まぁ・・・」


ハックと大家はローブの家の中に入った。

ローブの家は机と椅子、そして本棚とベッドが有る簡素な部屋だった。

しかし荒らされていた。


「この荒れようは・・・」

「前に来た貴族様が何か無いかって探し回ってそのままにして帰ったみたいね」

「はぁ・・・」


ごそごそと周囲を探し回るハック、しかし何も見つからない。

本棚に有るのも求職関係の本だった。


「ここら辺転職やら求職情報誌ばっかりですけどローブさんって働いて居ないんですか?」

「いや働いていたんだけどねぇ・・・辞めさせられたみたいで・・・」

「辞めさせられた?何が有ったんですか?」

「また貴族様が出て来たみたいでね、良く分からないけど・・・」

「そうですか・・・?」


本棚の裏にスペースが有るのを気が付いたハック

本棚の後ろを探ってみると一冊の本が出て来た。


「これは・・・日記ですかね」

「へぇ、これは知らなかった」

「持って行っても良いですか?」

「ローブ君が見つかったら返しておきなよ?」

「ありがとうございます」


ハックはローブの家から日記を持ち出しその場を去った。

途中、住宅街でローブの事を聞いて回った。

その中でローブの友人で出会い話をする事が出来た。


「ローブはな貴族のリンって奴に惚れてたんだよ」

「・・・そうなんですか?」

「そう、だけどリンは昔は仲良かったけど最近ツンケンし始めてなぁ・・・

あ、その顔は疑っているなぁ?」

「い、いえそんな事は」

「学院に行ってみろよ」

「学院?」

「そう、あの二人は昔その学院に通っていたんだ

仲はそれなりに有名だったし知っている先生も居るだろうさ」

「そうなんですか・・・彼の今の居場所とかって分かります?」

「いや、それがぜーんぜん分からん、一体何処に行ったんだろうな・・・」

「ありがとうございました」


話終わり、頭を下げてその場を去るハック

もう夜になったので日記は宿屋で皆で読めば良いと歩き始めた。

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