第52話【誤解1と2】

黙々と鯖とワインを食べるトールォ


「美味しいしこれで良いと思うが・・・」

「最初の内はこれを出そうと思う」

「最初の内?」

「うん、最初は暖かい鯖料理を出し、冷製鯖料理にシフトする

と言う流れを想定している」

「それは如何言う事だ?」

「料理は冷めて来るからな、最初の内は暖かい料理も暖かいままだが

後々冷めて来る、ならば最初に暖かい料理を出して

後に最初から冷めている冷製料理を出すのは如何だろうか」

「全て君に任せるから・・・」

「いやいや、パーティでの出席者からの傾向とか色々拘る部分はあるだろう」

「うーん・・・言っては悪いんだがワイン工房でやるパーティだぞ?

ワインがメインで料理はサブな気もするが」

「何を言っているんだ、水物が料理に勝る訳が無いだろう」

「・・・・・はぁ・・・・・」


溜息を吐くトールォ

そこに警備と共にやってくるハックとヴェンデス、ビター


「お、ヴェンデスじゃねぇか」

「ドン、お前も来てたのか」

「モーニングの鯖調達のついでに料理についての話し合いに参加してるんだ」

「と言ってもトールォさんやる気無さそうだけどな」

「料理については一任すると・・・あ、そうだビターさん

新聞読みましたよ、我が工房に対して色々と誤解が有る様ですが」

「誤解?」

「ええ国外へワインを販売する時は偽物を売っていると仰っておられましたが

全くもって誤解ですとも、そんな事実は御座いません

外国の人々が偽物だと騒いでいるだけに過ぎません

我が工房のワインの味すら分からない馬鹿なのです」

「ですが科学的分析をした結果

貴方の所の別のワインだと言う鑑定結果が出ていますが?」

「科学的分析ですか、聊か滑稽に移りますな

その科学とやらは信用出来るのですかな?裁判では証拠にならないでは在りませんか

そして第二の誤解として資金面に陰りが見えると言う発言

確かに偽物販売疑惑で売り上げは落ちていますが誤差の範囲内です

パーティを開く位の余裕位は有りますとも!!」

「ならそこのハック君とヴェンデスさんの報酬が2Gだけと言うのは少し変では在りませんか?」

「相場が良く分からなかったのですが・・・うーん、ではこうしましょう

無事パーティが済んだらボーナスとして20Gを追加としてお支払いします」

「それは聊か安過ぎでは?」


ヴェンデスが軽口を叩く


「なら50Gで」

「うぇ!?」

「・・・言ってみるもんだぁ・・・」

「ヴェンデスさん、貰い過ぎでは?」

「本人がくれるって言うんだから良いんだよ」

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