第51話【ワインと鯖】

モーニングに呼び出されたトールォ


「モーニングさん、またですか?」

「またですかって何だ、またですかって

あんたの所のパーティを成功させる為の打ち合わせだろうが

もっと真剣にやるべきじゃないのか?」

「そーだぜ、大将」

「・・・そちらのワーキャットは?」

「あぁ鯖を調達して来てくれた神州進撃会のドンだ

鍛冶屋をやっているらしいが舌の方も確かなんで味見もして貰っている」

「よろしく!!」


手を差し出すドン、握手する事無く話を続けるトールォ


「はぁ・・・神州進撃会なら先程警備を頼んで来て貰いました」

「ウチは手広くやっているからな」

「そうですか・・・」

「トールォさん、今回のパーティに出す料理なんだが」

「貴方に一任します、と何度も言っているじゃないですか」

「それじゃ駄目だろ、ワインに合う鯖料理を作ったのから

専門家の立場からアドバイスを頂きたい」

「食べてみたが中々イケますよ」

「・・・はぁ、仕方ないですね、では頂きましょう」

「分かれば良いんだよ」


一方その頃ハック達は工房の警備担当者に工房を案内して貰った


「ここがワインを発酵させる為の樽ですね」

「へぇ、勉強になります」

「うむ・・・所で件のトワイライトって言う高級ワインは何処に?」

「それはトールォさんが隠していますね

パーティになるまで場所は分からないです」

「そうか・・・」

「パーティになるまでのお楽しみって奴ですね」

「隠し場所を見つけ出されて盗まれるって事は無いんですか?」

「可能性は無くは無いですが、恐らくは無いでしょう」

「それは何故?」

「それは・・・」

「奴は劇場型犯罪者だからだ」

「?」


ハック達の後ろから深い茶色のコートを着た男性がやって来た


「貴方は?」

「失礼、警邏のビターです

この度は怪盗ホイップ捕獲の為に警備に協力したします」

「それは助かります」

「あ、警備を依頼された神州進撃会のハックです」

「同じくウェンデスです」

「よろしくお願いします

しかし神州進撃会とはあまり聞かないギルドですな」

「大手のギルドとは違って中小ギルドですから」

「ふむ、何故もっと大手のギルドにトールォ氏が依頼しないか謎ですな」

「・・・お金が無いんじゃないですか?依頼の支払いも2Gだけでしたし」

「それは安い・・・ならば『トワイライト』を早々に売り払えば良いのに」

「あれはこの工房の宝の様な物ですからね

売り払う訳には行かないのですよ、では次に酵母を混ぜ入れる所を御案内します」

「はーい」

「まるで工房見学だな」

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