第45話【今は居ない魔術師の王】

「さてと、ではインタビューの答えを聞きに行きますか」


スルメは神殿の様な建物の中に入る


「・・・その、スルメさん?カイって魔法使いは

会話に一年のラグが有るって言ってましたよね?」

「大体一年位と言うだけでジャストピッタリ365日分のラグ

と言う訳では無いよ」

「・・・じゃあ聞きそびれるって事が有るのでは?」

「それは心配無い、カイの御付きの人にカイの喋った内容を書き留める様に

頼んであるから喋った内容は聞き漏らす事は無い」

「そうなんですか・・・因みに何を聞いたんですか?」

「質問は三つ

一つ何故人から悪い心を奪うのか

二つ何故そんな力を貴方が持って居るのか

三つ何故そんな姿になったのか」

「そんな姿?」

「見れば分かるよ、っとカイだ」


神殿の奥には巨大な貝のオブジェと数人の人々が居た


「・・・どの方がカイ、さんですか?」

「アレだよ」

「どれ?」

「真ん中の」

「真ん中?」


ずりゅ、と貝のオブジェから折れ曲がった手足が出る


「あの大きな貝がカイだよ」

「・・・・・」


事も無げに言うスルメ、緊張するハック

ポーチの中で震えるでぶ妖精


「・・・お久しぶりです、カイは何か言いましたか?」

「”お久しぶりですスルメ先生、カイはまだ何も言っていません”」

「そうですか、では私は暫くここで待ちますね、ハック、君は如何する?」

「あ、じゃあちょっと出かけて来ますね」

「うん、じゃあまた後でここに待ち合わせで」

「はい」


ハックは神殿から出た


「・・・じゃあ雑貨屋に行くか」


ハックはヌベアを売る為に一旦店に向かった


「”いらっしゃいませ!!”」


営業スマイルよりもはつらつとしてそれでいて違和感の有る笑顔を見せる店主


「すいません、ヌベアの買取って出来ますか?」

「”ヌベアですか、50F位で如何でしょうか”」


安い値段を付けられ驚くハック


「安くないですか?」

「”定価よりも大分高いですよ?

この街でもやや需要が有るのでそれを加味した値段です”」

「・・・そうですか」


ハックは店を出た

その後も他の店を回ったが買値はどれも50Fで大して変わりは無かった


「駄目か・・・神殿に戻るか・・・」


ハックはスルメが待つ神殿に戻った

丁度ハックが出た頃にスルメは神殿から出て来た


「ハックか」

「スルメさん、如何でしたかインタビューの答え、貰えました?」

「一応は、ね、今日は宿で休みましょう」

「そうしますか」

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